研究課題/領域番号 |
19K02079
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
岸 直子 (齋藤直子) 大阪市立大学, 人権問題研究センター, 特任准教授 (90599284)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 部落問題 / 差別 / インターネット / 聞き取り調査 |
研究実績の概要 |
前年度まで、平成 30 年度文部科学省「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ (牽引型)」 連携型共同研究助成をうけ、被差別部落転 出者の研究および部落出身者の出身であることの「うちあけ」をめぐる問題について、聞き取り調査をすすめてきたが、それに引き続き、転出経験や「うちあけ」、インターネットをめぐる問題、被差別体験、結婚をめぐる問題、家族関係、友人関係、また教育関係者には現在の部落問題学習の課題等の聞き取り調査を進めた。昨年度までは、主に関西圏の都市部とりわけ大阪市や神戸市などで部落解放運動に近しい方々への聞き取りの割合が比較的高かったが、本年度は、大阪府下の教育関係者や、関西の都市部でない地域での聞き取りをすすめることができた。また、被差別体験のある若者に聞き取りをおこなった。 これらの聞き取りデータの文字起こしは概ね進んでおり、分析の準備は進んでいる。本年度は、小中学生向けの部落問題入門の書籍化に向け、出版社webサイトにて連載を開始した(現在、第3回まで公開済み)。本研究の知見も間接的に生かすことができている。また、社会調査に関する研究雑誌において、これまでの被差別部落、とりわけ部落出身者への結婚差別問題の「調査経験」を通じた社会調査方法論をめぐる論考を執筆した。 調査は12月まで順調に進行し、その後の調査対象者の紹介も多数受けていたが、新型コロナウイルス感染予防のため、春休み期間の2月、3月の調査をすすめることができなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度、12月までは聞き取り調査を順調にすすめており、また新たな調査対象者の紹介も多数受け、春休み期間中の2月・3月に聞き取りを行う予定であったが、新型コロナウイルス感染対策のため、対面での聞き取り調査をすることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
現在、紹介いただいている大阪府下の教育関係者や、関西の都市部でない地域で暮らす部落出身者および教育関係者への聞き取りを進めていくことになるが、対面での聞き取り調査が基本であるため、新型コロナウイルスが収束するまでの間、調査を行うことが困難であると予想される。 収束までの間、初年度のデータの分析をすすめていきたい。また、調査再開に向けて、地域のキーパーソンとともに調査にご協力いただける方について検討をすすめておく。 文献調査として、過去50年(同和対策事業特別措置法の施行開始から現在までとほぼ重なる)の差別事象、とりわけ結婚差別問題についてのデータを収集し、分析をおこなう。また、現在進めている調査との比較のため、過去20年にわたる調査データの再分析をおこない、今後の聞き取りの分析視角をより明瞭にすることとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
2月、3月に聞き取り調査を行う予定であったが、新型コロナウイルスの影響で調査を行うことができなかったため、旅費やデータ起こしの予算分を使用することができなかった。今年度、ウイルス感染が収束次第、調査をすすめる予定である。
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備考 |
新曜社ウエブサイト連載「ツバメのかえるところ」は、小中学生向けシリーズの単行本として出版を前提として連載している。
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