研究課題/領域番号 |
19K02082
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研究機関 | 福岡県立大学 |
研究代表者 |
佐藤 繁美 福岡県立大学, 人間社会学部, 助手 (80254647)
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研究分担者 |
菊池 義昭 淑徳大学, その他部局等, その他 (50258927)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 自立的地域社会構想 / 社会事業 / 大原孫三郎 / 石井十次 / 松本圭一 / 石井記念友愛社 |
研究実績の概要 |
1.明治・大正期の石井十次の事業の研究:明治期の岡山孤児院の事業の一つである音楽幻燈隊の活動内容を活動地点を中心に分析し、その実態を解明した。音楽幻燈隊を主催する支援者との協力や交流を通して、岡山孤児院の孤児救済活動はキリスト教主義に基づく運動であることを明らかにした。また、幻燈隊活動から岡山孤児院のネットワークの一端を解明した。 2.コミュニティ形成の視点からの友愛社事業の分析:石井記念友愛社の初代理事長時代の友愛社事業の関係資料を基に、友愛社の具体的な運営から理事長の教育的事業理念と昭和30年代における事業展開について整理し、友愛社の概況、児童養育方針、児童養護の目標、現状と課題、友愛社と地域社会との関係等について分析した。組織体制の基礎を固めた後の友愛社は、宮崎県内他地域で養護施設分園や地元地域で保育所・住民集会所設置など新たな事業を開始している。初代理事長は「石井十次日誌」の自費出版も始めており、石井十次の生活・地域自立の構想を改めて確認しながら戦後社会におけるコミュニティ形成とその中での子どもの自立育成を指向していたと考察した。 3.岡山孤児院茶臼原農場学校松本圭一校長と卒業生の自立との関係:岡山孤児院茶臼原農場学校卒業生の独立後の殖民村での自立自営のための財政的営農支援について明らかにした。 4.開発社会学の視点からの友愛社事業の分析:現理事長時代の友愛社の事業展開を現理事長へのインタビューをもとに内発的発展論、資源動員論から分析、解明した。石井の友愛社の「組織文化」は、現理事長が過去の資料を発掘するなかで再解釈され、自身の論理と結びつけられ、現在の組織運営に活かされていることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍により現地調査と研究会が開催不可となったため、予定していた調査研究が実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの調査研究を踏まえ、以下の4項目の分析を進める。 1.明治・大正期の石井十次の事業の研究~文献の解読と整理分析 2.大原・石井・林の理念とその継承~倉敷中央病院、大原美術館、語らい座大原本邸、石井記念友愛社、株式会社エバルスを中心に 3.コミュニティ形成の視点からの友愛社事業の分析~初代理事長時代の友愛社と周辺地域との関係 4.松本圭一遺稿資料及びエメボイ実習場関係資料の分析~自立思想の継承と実践 5.開発社会学の視点からの友愛社事業の分析~現理事長時代の友愛社の事業展開
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により現地調査と研究会が実施できなかったため調査旅費に大幅な残額が生じた。関係する自治体の感染状況等を踏まえ、調査の再開が可能なところから順次調査を実施する予定である。
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