研究課題/領域番号 |
19K02086
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
遠藤 薫 学習院大学, 法学部, 教授 (70252054)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 東日本大震災 / 復興 / 共同体 / 産業史 |
研究実績の概要 |
東日本大震災以来、東日本大震災とその復興を考えるには、環境学、気候学、農林業に関する研究、歴史学などの成果と、社会の構造変動とを連動させて考えることの重要性を痛感した。こうした学際的研究は、世界の持続可能性に関する関心の高まりを背景に、社会学以外の多くの分野で現在進められているものである。重層的関係をふまえた社会のダイナミズムの解明により、被災地の復興に資するとともに、新たな社会学を開くことを目指す。現実に、東日本大震災の復興が進んでいない。むしろ、被災地の人びとが違和感を感じる「計画」が進む一方で、産業経済的観点から「地方消滅」が語られている。人びとの身体になじむ「復興」を実現するには、地域の生活史を振り返り、自然、生活文化的文脈に即した地域再生のあり方を再検討すべきである。本研究では、繰り返し災禍を経験してきた三陸地域において、過去の復興(非復興)プロセスと当時の「社会関係資本」のあり方との関係を、今日では衰退産業と見なされがちな「漁業」と「養蚕業」を中心に分析することにより、「地域」を深みから理解し、現在を逆照射する。それは、「社会」を、現時点における関係のネットワークとしてだけではなく、「歴史」の相を踏まえたN次元体として捉えようとする「学」の企てでもある。社会学の核の一つである社会システム論に、環境学、歴史学、産業論など、文理織り交ぜた融合的なアプローチのための、先行研究、文献資料の収集分析により進めた。また、関連諸分野の有識者との議論を通じて、問題を深めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
環境学、歴史学、産業論など、文理織り交ぜた融合的なアプローチのための、先行研究、文献資料の収集分析により進めた。
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今後の研究の推進方策 |
今後、現地のフィールドワーク(聞き取り調査、定性的調査)、全国的な意識調査を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年は東北地方の台風の影響で、フィールドワークが不可能になった。2020年以降、コロナ感染拡大により、フィールドワーク、学会参加、講演会登壇、研究会開催などの活動が不可能になったため。
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