研究課題/領域番号 |
19K02087
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研究機関 | 武蔵大学 |
研究代表者 |
中西 祐子 武蔵大学, 社会学部, 教授 (90282904)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 国際移住 / ジェンダー / 家族 / ネットワーク / アメリカ |
研究実績の概要 |
当初は夏休みや春休みの期間を利用して渡米し、サンフランシスコベイエリアでのインタビューやフィールドワークを行う予定であったが、2020年春からの新型コロナウィルスの流行の影響で、日本からの国外出張が不可能になってしまった。zoom等の遠隔会議システムを使ってのインタビューの可能性も探ったが、現地の新型コロナウィルス流行状況の深刻さから、学校や大学を始め、関連諸機関の閉鎖などが続いたため、2020年度における遠隔インタビュー調査の実施は厳しいと判断し、実施を先送りすることにした。 代わりに2020年度は、日本国内で関連文献や資料の収集、過去に行った現地でのインタビューデータの再分析、および日本国内で開催される学会(日本社会学会・日本教育社会学会の移民、エスニシティ、ジェンダー、家族研究関連の発表)へのリモート参加を通じた情報収集を行った。 過去に収集した移住女性たちへのインタビューデータを再分析し、家族をめぐるどのような語りが成立しているのかの考察を始めたところ、移住女性の子どもに関する語りは、①子どもの国籍選択戦略をめぐる語り、②自分と夫やアメリカ社会とを「つなぐ存在」としての語り、③自分のルーツである「日本(文化)を伝承するべき存在」としての語り、④自分の親と子どもをつなぐツールとしての日本語教育に関する語り、⑤子どもの自立=子どものアメリカ人化という語り、⑥他の日本出身親とのネットワークを構築するきっかけとしての子どもという語り、等に分類できることが確認できた。 その他、国内外の3つの学会へのリモート参加と情報収集:アメリカ社会学会、日本教育社会学会、日本社会学会、および論文執筆2本を執筆した(うち1本は依頼論文)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルス流行の影響が長引き、2020年度予定していた自身のアメリカ出張が不可能になってしまったため、研究進捗状況は遅れている。当初、遠隔会議アプリ等を使っての日本からのインタビューの可能性も探ったが、現地での新型コロナウィルス流行の深刻さから、学校や大学を始め、関連諸機関の閉鎖などが続き、2020年度中に予定していた日系機関や個人へのインタビュー調査は困難であったため年度内実施を見送った。 現在、カリフォルニア州はワクチン接種が進行しており、2021年度後半には日常生活がある程度戻ることが予想される。このため、2020年度分の遅れている調査については、2021年度に現地出張やzoomやskype等の遠隔会議ツールなどを活用しながら実施し、遅れを取り戻す予定である。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルスの流行状況をみつつ、アメリカでの日系機関での調査や移住者個人へのインタビュー調査や資料収集を実施する。場合によっては、Googleフォームなどを利用したインターネット上の記述式調査などを代用して実施することも考えている。また、過去のインタビュー調査データや、これまで集めた資料の再分析、アメリカ移民統計データの二次的分析などを並行して行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 新型コロナウィルス流行の影響を受け、当初2020年度予定していた自身のアメリカ出張が不可能になってしまった。また、現地での新型コロナウィルス流行の深刻さを受け2020年度冒頭から現地の学校や大学を始め、関連諸機関の閉鎖などが続いており、遠隔会議アプリ等を使っての日本から日系機関や移住者個人へのインタビュー調査を実施することも2020年度中は困難であったため、海外渡航費使用額や調査協力謝金が発生せず、次年度使用額が生じてしまった。 (使用計画) 2021年度に入りアメリカでのワクチン接種が進み、秋以降は日常生活がある程度戻ることが予想される。このため、2021年度は現地出張を実施したり、日米両国からの遠隔会議ツール活用のための機材等を整備したりしながら、遅延していた現地での調査や資料収集を実施する計画である。
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