研究課題/領域番号 |
19K02087
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研究機関 | 武蔵大学 |
研究代表者 |
中西 祐子 武蔵大学, 社会学部, 教授 (90282904)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 国際移住 / ジェンダー / 家族 / 教育 / ソーシャル・キャピタル / アメリカ / エスニック・コミュニティ |
研究実績の概要 |
2023年度は以下の活動を行った。 (1)2023年8月に米国ニューヨーク市を訪問し、現地の日系移住者の相互扶助団体であるニューヨーク日系人会を訪問し、同会事務局につとめる理事の一人に、同会の歴史と活動内容、日本移住者のニーズ等についてのインタビューを行った。ニューヨーク市はサンフランシスコ市、ロスアンゼルス市と並んで日系移民の多い三大拠点の一つであるが、西海岸同様、高齢者をはじめとする日系移住者の支援が課題となっていることが分かった。一方で、サンフランシスコ市界隈では事例としてみられなかった、日系移住者向け教育奨学金や、女性起業家支援の集まりなどが設けられていることが分かった。これらはこれまでの調査では確認できなかった経済的なエスニック資本の存在といえる。 (2)同年同月、米国ニューヨーク市内の移民博物館を訪問し、日系移民・アジア系移民をはじめとするアメリカの移民史についての資料収集を行った。 (3)同年同月、アメリカ社会学会第118回大会(米国ペンシルバニア州フィラデルフィア)に参加した。学会期間中は移民研究、ジェンダー研究、教育社会学に関する部会に参加して、アメリカ社会学会における最新の社会学理論と調査結果について情報収集した。 (4)次の執筆と発表を行った:①中西祐子、2023、「日本における教育とジェンダーギャップ」(学びのスイッチー男女共同参画 A to Zー 第5回)、公益財団法人日本女性学習財団『We Learn (月刊・ウィラーン)』vol. 832、pp.14-15.②中西祐子、2023、「コロナ禍で大学での学修はどのように変容したか」、第96回日本社会学会大会・シンポジウム(招聘あり)『ポストパンデミックの社会学教育』、2023年10月、立正大学。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、今年度は東海岸の日系ネットワークについて、複数方面から調査を行うことを企画していた。しかし、アメリカ国内におけるポストパンデミックの出勤状況の変化もあり、滞在期間中にインタビューが可能になったものと、可能にならなかったものとがあった。 2023年度までに遅れている調査については、これまで集めた調査データや資料を基に、適宜zoom等の遠隔会議ツールなどを活用して計画の遅れを取り戻し、最終的な知見をまとめる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定よりは西海岸のデータが多くなりそうであるが、2023年の出張で、日系団体の過去の資料を収集できたり、ホームページなども複数存在していることが分かった。今後は、過去のインタビューデータや、これまで収集した資料の分析・再分析、アメリカ移民統計データの二次的分析なども活用し、必要に応じて日本からのzoomインタビューなども加えながら、最終的な知見をまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
〔理由〕2023年夏に米国東海岸に渡航し、ニューヨーク市内の日系団体へのインタビューを一件実施することができたが、ポストパンデミックのオフィス出勤状況が変容しており、現地滞在中に関係者の出勤のタイミングを合わせることができず、計画していた複数のインタビューは実施することができなかった。 これらの理由により、調査にあたって予算立てしていた調査協力謝金、現地での交通費が予定ほど発生せず、次年度使用額が再度生じてしまった。 〔使用計画〕2023年度までに遅れている調査については、これまで西海岸を中心に集めていたインタビューデータ、資料などを中心に分析をすることにし、現地の日系団体が作成しているホームページや、必要に応じてzoom等の遠隔会議ツールなどを活用して追加インタビューをすることで、遅れを取り戻す計画でいる。
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