研究課題/領域番号 |
19K02089
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研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
田中 智子 佛教大学, 社会福祉学部, 教授 (60413415)
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研究分担者 |
藤原 里佐 北星学園大学短期大学部, 短期大学部, 教授 (80341684)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 障害者家族 / 高齢化 |
研究実績の概要 |
本研究は、親の高齢期から「親亡き後」にかけて家族によるケア役割が縮小化するのに伴う障害当事者のQOLの変化とその規定要因を明らかにする。また、親から社会へのケアの移行に際して、双方にどのような課題があるのかを検討することを目的としている。 今年度は、これまでに実施したアンケート調査結果について、当事者・関係者からスーパーバイズしていただく機会を得た。その結果、アンケート調査の結果については、自らの生活実態やその中での意識との齟齬が無いことが確認された。 ケアの移行については、専門職は本人のQOLの維持の観点から必要性を感じるが、家族は自らのケア役割を遂行したいという意識を持ち、障害当事者はそれまでの生活・関係の継続性の観点からとらえていることが明らかとなった。その結果、家族の高齢化に伴うケアニーズの発生に対する社会的支援の介入の遅れや家族自身の高齢化に伴う生活の変化への見通しの希薄さなどの課題が明らかになった。 現在は、家族の高齢化に伴う社会的支援の必要性に専門職がどのように対応しているのかという点についての追加調査を実施する予定であり、その準備を進めている。障害者福祉専門職の業務としては従来みなされてこなかった(公費補助の対象外)家族への対応として、具体的にどのような支援がなされているのか、その結果、従来の業務にどのような影響が生じているのか等を明らかにしたいと考えている。 また一方で、海外との比較研究においては、新型コロナウィルスの感染拡大状況において見通しが依然見通しが持てない状況にある。当面は、現地でのヒヤリング調査に代わる当事者団体や家族会による調査報告や手記等を収集したいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内での量的・質的調査についてはほぼ完了し、当事者からのスーパーバイズを得る機会もあり、今後の論文化に向けての準備がほぼ整ったといえよう。一方で、海外調査については今後の展望が持てない状況にあるので、現地でのヒヤリング調査に代わる方法を検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、国内における量的調査、質的調査について、論文や書籍等で公刊をしていく予定である。2021年度は主に、それに向けての執筆作業を行う予定である。それと並行して、家族支援に関する業務調査等、補足調査も進めていくことを予定している。 また、今年度もコロナの感染拡大状況が継続すると考えられることから、現地でのヒヤリング調査が不可になった場合の代替の策として、EUのEuropean health and social integration surveyの統計やイギリスのMencap等関係団体による調査をもとに、海外において家族の高齢化と障害当事者のQOLがどのように議論されているのか、何が明らかになっているのか等についてレビューしていきたいと考えている。 それとあわせて、現地の関係団体と調整を行い、コロナの感染状況が落ち着き次第、ヒヤリング調査に着手できるように準備していきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの感染拡大状況を受け、海外でのヒヤリング調査調査が困難になったため、繰り越しを行った。今年度は、現地でのヒヤリング調査の代替策の遂行と、コロナウィルスの感染拡大状況が落ち着いたら現地でのヒヤリング調査にすぐに着手できるよう関係団体との調整を進めていきたいと考えている。
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