研究課題
本研究は、障害者差別の歴史的形成や病・障害当事者組織について、外国人差別・部落差別に取り組む組織研究との架橋を目指しておこなわれる。社会運動組織のネットワーク形成に関しては、日本では環境運動研究などで理論的・実証的に取り組まれているが、差別や虐待をめぐる多様な組織間ネットワーク形成に関する社会過程や政策参画につらなる政治過程の研究は取り組まれていない。2年目となる2020年度も同様の課題に取り組んだが、研究代表者の所属研究機関の異動とCOVID-19における調査の困難が重なり、当初予定していた研究・分析が滞ってしまっている。とくに異動により当事者団体の原資料の活用が困難になり、かつ、それまで図書館所蔵資料を利用していた書籍(和書・洋書)へのアクセスにも困難が生じた。このため、2020年度は2年目以降に予定していた調査研究や分析の一部を見送り、研究体制の再構築をはかりつつ1年目と同様の文献研究・資料収集を中心におこなった。本研究課題に関連する成果として、『<当事者宣言>の社会学――言葉とカテゴリー』(樫田美雄・小川伸彦編、東信堂、2021年)や『マイノリティ問題から考える社会学・入門――差別をこえるために』(西原和久・杉本学編、有斐閣、2021年)へのコラム執筆の他、『障害者総合情報ネットワーク(BEGIN)収集資料集』(立命館大学生存学研究所・生存をめぐる制度研究プロジェクト、2021年)が刊行された。
4: 遅れている
研究代表者の異動、COVID-19により首都圏、近畿圏、北九州・福岡都市圏での資料収集や関係団体への調査困難が重なり、当初の予定よりも遅れが生じている。
関連する文献や資料などの所蔵体制はある程度の再構築をすすめることができた。COVID-19の状況がよめず調査研究については困難が引き続く可能性もあるため、引き続き文献研究・資料収集を中心に研究を推進していく。可能であれば、遠隔による調査にも取り組む。
COVID-19の影響により調査研究の一部を見送ったため、とくに旅費と人件費・謝金に関して次年度使用額が生じた。次年度の秋あるいは冬以降には調査研究が可能となる可能性があるため、調査旅費ならびにデータ入力等に要する人件費として次年度の研究費と合わせて使用する計画である。
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