研究課題/領域番号 |
19K02094
|
研究機関 | 活水女子大学 |
研究代表者 |
石川 由香里 活水女子大学, 健康生活学部, 教授 (80280270)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 社会関係資本 / 仲間づくり / 地域関係 |
研究実績の概要 |
本研究は、幼児期に形成される子ども同士の人間関係が、その保護者の社会関係資本として利用される可能性について明らかにしようとするものである。 今年度は、学内の倫理委員会に倫理申請を提出し、審査を通過した後、協力の得られた幼保連携型認定子ども園において、週1回、定期的に参与観察を行った。目的は、子ども一人一人の把握と、仲間づくりの様子を知ることにある。観察対象となったのは4歳児クラス22名である。観察当初には、子ども同士のかかわり方がその場その場でのやり取りであったものが、次第に互いの特性を把握していくうちに、特定の相手との間で常にいざこざを経験したり、共通の遊びで協力する様子を観察することができていった。とはいうものの、まだ特定のグループ化などは見られない状況であったので、次年度も引き続き観察を続けていく予定である。 協力園が認定こども園となったのは当該年度からだったこともあり、保護者による送り迎えの時間はかなりばらばらである。したがって、保護者同士のやり取りを観察する機会は少なかった。ただ、行事の多い園であり、運動会やお遊戯会では保護者参加が求められ、その際には交流する様子が観察できた。また行事の際に活動を支えているのは、地域の育成会や町内会であるが、そのメンバーには当該園の卒園者が多く含まれており、保育所を仲立ちとすることで、長期にわたる社会関係資本として活用されている様子を観察することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目については、参与観察を中心に進める予定を立てていたところ、対象先の協力も得られ、実行することができた。そのため、おおむね順調に推移しているとした。ただし現在、新型コロナウィルスの影響により、参与観察を中断しており、再開の見込みはまだ立っていない。これからインタビュー調査を計画しているが、それにはさらに困難が予測され、今後の進捗状況には遅れが出ることがあるかと思われる。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は、参与観察に加え、保護者へのインタビュー調査を実施する予定である。依頼は、園を通じて行う予定であるが、新型コロナウィルスの影響もあり、当面は難しいことが予想される。社会状況を見ながら、計画的にインタビュー調査に移行したいと考えている。 テーマが社会関係資本の構築であることから、現在の状況が人々のつながりをどのように分断し、あるいは逆につながりを強めたのかについて明らかにすべく、調査内容の充実に努めていきたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
計画当初においては、園内にビデオカメラを何台か設置させていただき、子どもたちの活動の様子を録画させていただくことを考えていたが、撮影対象が子どもであることは、なおさら個人情報の問題を惹起し、保護者への了解について慎重であるべきと考え、状況が把握できるまではと考え、今年度は設置を見合わせることにした。必要があれば設置は次年度に繰り越すべく、その分の金額をそのまま残した形になっている。
|