研究課題/領域番号 |
19K02096
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
原口 弥生 茨城大学, 人文社会科学部, 教授 (20375356)
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研究分担者 |
武田 直樹 筑波学院大学, 経営情報学部, 講師 (10725766) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 広域大規模災害 / レジリエンス / 福島原発事故 / 支援ネットワーク / 茨城県 / アーカイブ / 東日本大震災 |
研究実績の概要 |
本研究は、広域大規模災害における被害の回復に着目し、被災者・避難者のレジリエンス(災害回復力)を高める当事者・支援者による支援活動について、東京電力福島第一原発事故後の茨城県への避難者を対象に調査を行うものである。広域避難を支援する官民連携による支援ネットワークの形成について、当事者グループ、民間支援組織、行政間の連携関係を明らかにし、支援ネットワークの可能性と実現に向けた課題について明らかにすることを目的としている。 初年度となる2019年度は、全国的な当事者・支援団体の広がりと特徴を把握するために、現在まで活動を継続する団体に聞き取り調査を行った。福島県が全国26か所に「生活再建支援拠点」を置いており、そのうち北海道、岡山、広島、島根、愛媛、沖縄の支援団体を訪問し聞き取り調査を行った。受け入れ地域、また支援団体の設立背景により、行政・社協との関係性は多様であるが、全ての地域で、いかに地域社会とつながり避難者を支えていくための関係性の構築を目的とし、経験と知見を蓄積していることが確認できた。 茨城県内において、支援団体の一般社団法人ふうあいねっとの協力を得、県内で活動する当事者グループの団体とのラポール形成と聞き取り調査を行った。また、茨城県内の支援団体へのアンケート項目の検討を行い、次年度の調査実施に向けた準備を行った。 研究途上であるが、1本の国際学会(韓国ソウル大学、2019年10月26日)、3本の国内での学会報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度末の新型コロナウィルス感染拡大の影響で、3月に予定していた一部の聞き取り調査を実施することができなかったが、それ以外は予定通り研究を進めることができた。 上記の研究実績の概要でも記載したとおり、全国の避難者支援団体のうち、北海道や西日本の「生活再建支援拠点」のうち6団体を訪問し、3.11以降の支援活動の経緯や変容について時系列に沿って聞き取り調査を行った(北海道、岡山、広島、島根、愛媛、沖縄)。すでに文字起こしも終了しており、分析に着手している。一部は、2020年3月の第6回 震災問題研究交流会(2020年3月20日、早稲田大学)などで口頭報告を行った。 茨城県内の当事者グループにも研究の趣旨を理解いただき、交流会への参加やインタビューなどを実施している。 上記の調査は、茨城県の支援団体(ふうあいねっと・代表原口)からの全面協力を得ることができたことで、スムーズに進めることができた。また、研究代表者ならびに研究分担者(武田)が、これまで支援活動に携わった経験からの関係性によるところも大きい。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、茨城県内の当事者グループへのインタビュー、ならびに3.11以降、茨城県内で受け入れ地域としての支援活動を行った民間の支援団体へのアンケート調査を予定している。すでに活動を休止しているグループを含め対象とし、東日本大震災後の活動リストと活動年表を作成し、活動の変容とその背景、活動にあたっての課題について分析を行う。 年度末には、東日本大震災から10年を迎えることから、茨城県内で展開された広域避難者の支援活動に関する10年の記録冊子(アーカイブ)の制作を予定している。
新型コロナウィルスの関係で、インタビューなどの研究がどの程度進むか懸念材料ではあるが、アーカイブ作成などのための基礎資料作成から実施していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大のため、年度末に予定していたアメリカ調査を実施できなかったことから、海外旅費、レンタカー代、テープ起こし費用などが支出できなかったため、残額が生じた。 2020年度においても、海外調査の実施が難しいと思われるため、活動記録誌(アーカイブ)の印刷費として支出する予定である。
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