研究課題/領域番号 |
19K02098
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
清水 洋行 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 教授 (50282786)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | サード・セクター / NPO / 中間支援組織 / コミュニティ論 / 社会運動論 / 食支援活動 / こども食堂 / 地域社会学 |
研究実績の概要 |
定量的調査として、8月~9月に(一社)全国食支援活動協力会と共同で「コロナ禍における食支援活動の現状と食材支援に関する調査」を実施することができた。本調査は、①配食サービス ②こども配食、③会食会、④地域食堂・多世代食堂、コミュニティカフェ、⑤こども食堂 ⑥フードパントリーを対象とし、それらのカテゴリーの選択は活動団体に委ねた。2021年7月現在で実施中の活動と休止中の活動とを対象とし、有効回答は前者が484活動、後者が83活動、合計566活動である。回答は、質問紙ないしWebの回答フォームへの記入のいずれかの方法によるものとした。本アンケート調査より、組織・活動の状況、利用者およびボランティアに対する活動の効果、寄付食材の受入状況・受取先、公的支援の状況、コロナ禍への対応等について、上記①~⑥のカテゴリー間の共通性と差異とを把握することができた。これは「こども食堂」カテゴリーに特化しない本調査の成果といえる。また、活動団体と中間支援組織・フードバンク等との関係についても基礎的な資料を得ることができた。これは、近年の「食支援活動」の重要な社会経済条件の一つとなっている寄付食材の流通過程の構造的把握にとって有益な資料であると考える。この集計結果はWeb等で公開済である。 2022年3月に千葉大学で開催した「食でつながるフェスタ in ちば」に実行委員および登壇者として参加した。これは、(一社)全国食支援活動協力会、(株)アサヒ飲料、(社福)中央共同募金会という全国的アクターの働きかけにより、ローカルレベルのアクターが実行委員会を組織して各地で開催しているものである。このイベントの準備・開催を通じて、活動団体、社会福祉協議会、中間支援組織、生協関係団体、フードバンク、困窮者支援機関等のメンバーと、中間支援組織論を越える社会経済的基盤のあり方をめぐる意見交換を重ねることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
単年度としてみると、2021年度は、定量的調査、定性的調査、海外調査に関して、一定の進展があった。 定量的調査として食支援活動に関して全国規模のアンケート調査である「コロナ禍における食支援活動の現状と食材支援に関する調査」を実施し、①配食サービス ②こども配食、③会食会、④地域食堂・多世代食堂、コミュニティカフェ、⑤こども食堂 ⑥フードパントリーのカテゴリー別の集計まで完了できた。しかし、カテゴリー別以外の変数を用いた詳細な集計まで進むことができなかった。 また、「食でつながるフェスタ in ちば」を通じて、現在における食支援活動とその中間支援をめぐる現状に関する示唆を得たが、より組織的な調査には至っていない。 コロナ禍が続く中で、研究計画に含まれているMeals on Wheels South Australia inc.等を対象とする海外調査が実施できなかったが、オンライン・ミーティングを実施し、コロナ禍での対応について情報交換できた。 しかし、2020年度の遅れを取り戻すには至らず、全体としては「やや遅れている」という評価となった。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度も全国の食支援活動を対象とするアンケート調査を予定しており、2021年度に実施した「コロナ禍における食支援活動の現状と食材支援に関する調査」の結果とともに、テーマを絞った分析を進めることが研究の軸となる。 また、学会発表等を通じた意見交換を交えて、組織論、コミュニティ論、中間支援組織論、サードセクター論、戦略的アクションフィールド論等の視点から、地域社会学における地域集団研究の理論的展開に向けて研究をまとめていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外調査、国内調査、学会参加等にかかわる旅費に関する支出がないことが主な理由である。 研究計画では、理論枠組の構築に向けて海外調査を実施する予定であったが、可能であれば研究のまとめにむけた示唆を得るための調査として実施したいと考えている。
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