研究課題/領域番号 |
19K02114
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
紀 葉子 東洋大学, 社会学部, 教授 (40246781)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 日本語 / コロニア語 / 日系社会 / 日本文化の伝承 |
研究実績の概要 |
本調査研究はブラジル連邦共和国サンパウロ市内にて現地調査を行うことを主たる目的としていたが、パンデミック禍でそれが叶わず大きな変更をすることを余儀なくされている。現地でコロニア語と呼び親しまれてきたクレオールな言語を採取すること、ならびに、コロニア語の話者を対象にした調査票を用いた調査をすることは2020年度中には不可能であった。調査対象者の多くが重篤化しやすい高齢者であることから、特定の空間に集まってもらうことは憚られるため、現地にゆけなくとも現地の調調査協力者に依頼して代理で調査をしてもらうことも極めて難しい状況にある。感染が治ることを願うほかないが、米国に次ぐ感染の広がりにただただ心を痛めるばかりであった。 本来であれば予定していた現地調査の可能性を翌年に託し、今年度は資料の収集に努めることとする他なかった。ワクチンの開発が進んでいることから2021年度に現地調査を行うこととし、コロニア語を研究するにあたって必要となる資料、および調査環境の整備に努めた。 本研究の肝である現地調査が叶わないことで進めることが可能なのは仮説の彫琢しかなく、コロニア語の持つ性格として他者志向が強いこと、正規の学校教育でポルトガル語を学ぶ機会の喪失からくる不自由さを中心に整理することを試みた。ただ、それらを実証するためには調査票を用いる現地調査を実施することが不可欠であり、調査票の完成度を高めることに努める他なかった。感染状況が少しでも治り、せめてリモートでのアンケート調査が可能になるように祈るより他ない。調査協力をサンパウロ大学の学生に依頼でき、現地で高齢である日系人が集まることに躊躇ない環境が整うことに期待するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
国際的なCOVID-19の感染拡大状況の中、とりわけ、米国に次いで感染者が多いとされるブラジル連邦共和国で現地調査を行うことが不可能であったため。対象者が高齢者であることから会場での質問紙を用いての調査が不可能であるばかりではなく、話者が集まる状況下での会話の採取も不可能であったため。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度中に渡伯して現地調査を行うことによって遅れを取り戻すしかないと考えているが、自らが渡伯することが不可能であっても会場調査を試みたい。サンパウロ大学の調査協力者との連絡を密にし、調査協力を予定している学生たちの安全が確保できるようであれば、リモートでの調査も考えたい(現状では、調査協力者ならびに調査対象者の安全を確保するためには不可能である)。パンデミック禍で制約がある中での可能性を模索し、当初の調査計画通りに進めることが不可能であっても、質問紙調査ならびにコロニア語の採取が可能になる道筋をなんとか見つけてゆきたいと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
パンデミック禍で現地調査が不可能となったため、渡航費用ならびに現地での調査関連費用がそのまま繰り越しとなっている。本調査研究における予算の多くが現地調査に関するものであり、それが不可能になったことから繰り越しが大きなものとなっている。2021年度に現地調査を行いたいと考えているが、それも不可能である場合、本調査研究の期間の延長も含めた研究の継続を訴えてゆきたいと考える。
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