本研究の目的は、エゴ・ドキュメントを使って日本の労働社会に独自な労働者意識の特質を分析することであった。まず、資料整備としては、あるユニオン・リーダーの52年間の日記をデジタルデータ化した。また、そのリーダーの出身産別組織である全繊同盟のオーラルヒストリーも実施した。近江絹糸人権争議の論文(「家族賃金」観念の形成過程:近江絹糸人権争議後の交渉を対象に)を掲載し、さらにその論文の改訂版を含む共著『日本的雇用システムをつくる:1945-1995-オーラルヒストリーによる接近』を2023年に刊行した。本書は、学会の研究会で報告した。また、第38回冲永賞(労働問題リサーチセンター)を受賞した。
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