研究課題/領域番号 |
19K02118
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研究機関 | 広島国際学院大学 |
研究代表者 |
番匠 健一 広島国際学院大学, 情報文化学部, 准教授 (50770252)
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研究分担者 |
大野 光明 滋賀県立大学, 人間文化学部, 准教授 (80718346)
中島 弘二 金沢大学, 人間科学系, 教授 (90217703)
松田 ヒロ子 神戸学院大学, 現代社会学部, 教授 (90708489)
大村 順子 (兼清順子) 立命館大学, 国際平和ミュージアムオフィス, 職員 (90773987)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 「軍事化」 / 地域社会 / 矢臼別演習場 / 日出生台演習場 / 反基地運動 / 宇川のXバンドレーダー / 自衛隊 |
研究実績の概要 |
本研究の初発の問題意識は、ベトナム戦争以降の日本社会において米軍基地と自衛隊基地の問題領域が切り分けられていくプロセスを明らかにすることにあった。ベトナム戦争の時代には米軍・自衛隊基地への反対運動が成立したが、沖縄・岩国・横須賀など米軍基地が基地問題の中心を形成する一方で、自衛隊は地域社会と密接な関係を取り結び、マスメディアにおいて自衛隊が「軍事的な存在」と認識されにくい状況がつくり続けられている。 本研究の課題は、エンローの「軍事化」概念の次の展開をどのように構想するかであった。シンシア・エンローは一見すると非軍事的な領域、すなわち日常的な生活行為や消費行動、メディア、文化、ジェンダー規範などが軍事的基準によって強く規定されており、軍事と非軍事を所与の前提としてきた従来の研究に対して、日常世界に浸透するすそ野の広がりを「軍事化」と捉えるとともに、反軍事化や再軍事化といった一方向的ではないプロセスとして議論している。本研究では、「軍事化」の力学を検証する現場は地域社会であり、それぞれのフィールドへの合同調査など地域社会の具体的な現場に立って研究を進めた。『立命館平和研究』24号(2023年3月)で「「軍事化」と地域社会」をテーマに特集を組み、メンバーによる研究成果を公開した。 本研究の意義として、「地域社会」はスケールによってあらかじめ設定されるものではなく、「軍事化」をめぐる政治が行われている現場と派生する関係性の網の目であり、利害関係の範囲が限定され分断され切り縮められるとともに現場にとどまらない当事者性の広がりの可能性をひめていることを強調した。また自衛隊が旧軍・米軍との関係を歴史的資源としてどのように位置づけ語るかは地域によって様々であり、自衛隊と米軍が表裏一体の繋がりをもちながら地域社会との関係性をどのように取り結ぶのかに焦点をあてた点が重要である。
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