CATVの実態に関する実証研究は1980年代、ニューメディア論の一環として盛んに展開されたが、1990年代以降に洗練されたメディア研究の視座を踏まえた歴史化は進んでいない。それは翻って、テレビという技術の可能性を歴史的に探ることにもつながる。 文献調査に加えて、初期CATVの自主放送に携わった当事者に対する聞き取り調査をおこなうことで、民俗学的な視点を交えて、テレビの可能態を再構成した。当事者が高齢化している現状を鑑みれば、貴重な資料や証言の散逸を防ぐためにも、早急に取り組むべき研究課題であった。
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