研究課題/領域番号 |
19K02121
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研究機関 | 大阪産業大学 |
研究代表者 |
水嶋 一憲 大阪産業大学, 経済学部, 教授 (20319578)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | グローバル化 / 制御社会 / デジタル・メディア / テクノロジー / 資本主義 / ポストメディア / 加速主義 |
研究実績の概要 |
本研究は、グローバル制御社会におけるメディア・技術・資本主義の新たな連関を学際的視点から解明するための社会理論の基盤構築を目指すものである。かかる目的を達成するために、二年目にあたる2020年度には、共著本を1冊、単著論文を2本刊行した。具体的には、「資本とメディア」について解析した拙稿を含む共著『クリティカル・ワード メディア論』(フィルム・アート社)を出版し、新型コロナウイルス禍とデジタル・メディア技術の連関等を分析した単著論文「コモン/ウイルス:解体するスペクタクル・デジタルメディア技術・コモンのケア」 を『現代思想』(青土社)の「感染/パンデミック」特集号に、またコロナ禍のさなかに再起動したBLM(ブラック・ライヴズ・マター)運動について論じた単著論文「黙示と破局の狭間で:交差する階級闘争としてのブラック・ライヴズ・マター」を、同誌「BLM」特集号に寄稿した。加えて、国内学会での個人報告を一つ、国際シンポジウムでの個人報告を二つ行なった。具体的にはまず、日本政治学会2020年度研究大会(Zoom配信)のパネル「加速主義と資本主義、民主主義の未来」にて「戴冠せる加速主義者?:ポストコロナ時代の政治・技術・資本主義の連関分析に向けて」という題の招待報告を行なった。また、国際シンポジウム「COVID-19時代のメディアと文化」(ZoomとYouTube配信)にて「新ウイルス主義時代のメディアと集合性:東京2020・プラットフォーム・マスク」という題の報告を、同じく国際ワークショップ「新型コロナ時代におけるデジタルメディア、創造性、資本主義」(ZoomとYouTube配信)にて「ポスト・パンデミック/メディア時代の政治・技術・資本主義」という題の報告を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
二年目にあたる2020年度には、共著1冊・単著論文2本を刊行するとともに、国内外の学会やシンポジウムで招待報告を含めて3件報告することができた。それらを通じて本研究課題を予定通り進捗させることができたと判断される。だがその一方で、新型コロナウイルス禍の影響で、当初予定していた国内外での研究調査を遂行することができなかった。また、訳書の刊行準備は順調に進んでいるが、単著の進捗はやや遅れ気味である。これらの理由により、総合的に見て、「おおむね順調に進捗している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
二年間に構築・整備することのできた土台をもとに、単著・共著・訳書の刊行に向けた研究テーマの整理と原稿の執筆を進めるとともに、学会/シンポジウムでの報告や研究調査等を通じて、多様な分野の研究者たちとの交流を深め、そこで得られた知見を本研究のエラボレーションに活用する。と同時に、新型コロナウイルス禍の影響で国内外の研究調査や対面型のシンポジウムの開催については今後も実現困難な状況が続くものと予想されるので、研究協力者をはじめ多方面と連携しつつ、非対面型の研究推進方策をさらに探求していく必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた国内外の研究調査や国際学会・シンポジウムでの報告が新型コロナウイルス禍の影響でそのための予算を執行することができず、学内研究費でとりあえずノート型PCを購入することができたために次年度使用が生じた。繰り越しされた金額は、もし実現可能な状況が整えば、国内外の研究調査や国際学会等での報告に使用するとともに、研究遂行上、必要と判断される、より高性能なPCの購入等に充てることを計画している。
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