研究課題/領域番号 |
19K02121
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研究機関 | 大阪産業大学 |
研究代表者 |
水嶋 一憲 大阪産業大学, 経済学部, 教授 (20319578)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | グローバル化 / 制御社会 / デジタルメディア / テクノロジー / 資本主義 / ポストメディア / 加速主義 / アセンブリ |
研究実績の概要 |
本研究は、グローバル制御社会におけるメディア・技術・資本主義の新たな連関を学際的視点から解明するための社会理論の基盤構築を目指すものである。かかる目的を達成するために、3年目にあたる2021年度には、共著書を1冊、共訳書を1冊、単著論文を1本刊行するとともに、二つのシンポジウムで報告を行った。具体的には、ネグリ=ハート『〈帝国〉』の問題設定を多元主義との関連で解説した拙稿を含む共著書『「多元主義」を理解するための30冊』(ECOSYX LAB)と、ネグリ=ハートの〈帝国〉三部作に続く大著の共訳書『アセンブリ:新たな民主主義の編成』(岩波書店)を出版した。また、カルチュラル・スタディーズ学会からの依頼を受け、新型コロナウイルス禍以降の政治・メディア・資本主義の連関等を分析した単著論文「コモン/ウイルス再考:ポストコロナ時代の政治・メディア・資本主義の連関についての試論」を『年報カルチュラル・スタディーズ』9巻(創文企画)に寄稿した。加えて、本研究の協力者である、ハーヴァード大学・依田富子教授とアレックス・ザルテン准教授に招待され、"FUTURISMS AND EAST ASIAN MEDIA ECOLOGIES”をテーマとするオンラインシンポジウム(ハーヴァード大学東アジア言語文明学部主催)で、"From Neo-Tokyo to Neo-China and Beyond: For the Navigation of Futures in East Asian Media Ecologies”という題の報告を行った。また、『アセンブリ』刊行を記念して、 「『〈帝国〉』から『アセンブリ』へ、ネグリ=ハートの軌跡」をテーマとするオンラインセミナー(ジュンク堂書店主催)に招かれ、「〈帝国〉内での新たな内戦とパンデミック」という題の報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3年目にあたる2021年度には、共著書1冊、共訳書1冊、単著論文1本を刊行するとともに、国内外のシンポジウムやセミナーで招待報告を含めて2件報告することができた。これらは本研究の理論的土台の構築にとって重要な成果として位置づけることができる。だがその一方で、新型コロナウイルス禍の影響により、当初予定していた国内外での研究調査を遂行することができなかった。ハーヴァード大学の研究協力者たち主催のシンポジウムにオンラインで参加することにより、その不足を一部補うことができたが、より緊密な連携の方法を模索中である。また、本研究にとって重要な意義を有する訳書を刊行することはできたが、単著の進捗はやや遅れ気味である。これらの理由により、総合的に見て、「おおむね順調に進捗している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍の影響により、参加を予定していた海外のシンポジウムが中止になり、また渡航先の外国機関(米・ハーヴァード大学等)の再調整が必要となったため、当初計画に変更が生じ、補助事業期間を延長せざるを得なくなった。今後は、これまでに構築・整備することのできた土台をもとに、単著・共著等の刊行に向けた研究テーマの整理と原稿の執筆を進めるとともに、学会やシンポジウムでの報告や研究調査等を通じて、多様な分野の研究者たちとの交流を深め、そこで得られた知見を本研究のエラボレーションに活用する。また、感染状況・出入国状況を見極めつつ、国内外の研究協力者をはじめ多方面と連携し、研究推進方策をさらに探求していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた国内外の研究調査や国際学会・シンポジウムでの報告が新型コロナウイルス禍の影響でそのための予算を執行することができず、次年度使用が生じた。繰り越しされた金額は、もし実現可能な状況が整えば、国内外の研究調査や国際学会等での報告に使用するとともに、研究遂行上、必要と判断される、高性能なPCの購入等に充てることを計画している。
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