研究課題
基盤研究(C)
ハンセン病療養所の将来構想は市街地からの距離や交通アクセスなど、所在地の地域特性が大きな影響をもたらす。将来構想を具現化していくには「地の利」や地域経済に加え、自治体の積極的な取り組みや実行力のあるキーパーソンの存在も必要不可欠である。コロナ禍は高齢者施設である療養所の運営にも影をおとした。それまで行われていた行事や外部との交流が断たれたことで入所者のQOLは低下し、将来構想の実現にも影響をおよぼした。
社会学
日本各地に点在する療養所の将来構想を地域特性という視座からとらえることによって、地域特有の課題が検討できた。療養所と地域社会のつながりや今後の関わり方は、とくに高齢化・過疎化が進む地域における新たな「地域づくり」や雇用創出のモデルケースにもなりうる。コロナ禍という経験は、グローバル化が進む社会における「病と社会」のありかたについて問い、ハンセン病療養所の歴史やその教訓をあらためて考えさせるものとなった。