わたしのハンセン病問題研究の社会的な意義は、被差別当事者との信頼関係に基づき、「ハンセン病家族訴訟」での「意見書」の提出により、国のハンセン病政策の誤りを糺す前提となる違憲国賠訴訟において、原告勝訴獲得に一定の寄与をしたことであり、それによって、偏見差別の解消のための施策検討に弾みがついたことである。 学術的な意義としては、偏見が、個々人の内面の問題ではなく、また知識・認識の正誤の問題でもなく、《集合的意識としての偏見》として、個々人から外在するかたちで社会的に構築されたものであることを、聞き取り資料をデータとして論理的に解明したことである。
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