研究課題/領域番号 |
19K02127
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
小川 玲子 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 教授 (30432884)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 国際移動 / ケア労働 / ジェンダー / エスニシティ / 交差性 |
研究実績の概要 |
2018年12月の入管法改正により、外国人が海外から来日して介護職として就労することが出来る在留資格は4つになった。4つの枠組みは求められている条件や日本語能力、在留期間やキャリアパスが異なり、政府の管轄も縦割りである。本研究は、交差性 (intersectionality)を分析概念として用いることで、多様な外国人労働者がどのように介護セクターに統合・排除されていくのかについて明らかにすることを目的とする。交差性とはジェンダーや人種、エスニシティや階級といった複数のカテゴリーが複雑に組み合わさることで、社会的分断や差別が生じる状況を指す。 そこで、外国人介護士と雇用主である介護施設に対して、1)多様な属性を持つ外国人労働者の評価、2)外国人労働者の流入による介護現場の変容、3)外国人労働者が介護現場で働き続けるための条件、についての調査を行い、介護セクターにおける外国人介護士の社会統合のあり方を明らかにすることを目的とする。 初年度は、4つの介護施設のインタビューと、外国人介護士の育成に取り組んでいる教育機関や業界団体等のインタビューを行った。これらの介護施設はいずれも経済連携協定(EPA)により来日した外国人介護士を雇用しており、将来的には技能実習生や留学生を受け入れる予定であるが、インタビュー時点ではまだ就労は開始されていなかった。介護施設では介護養成校や監理団体との関係を構築し、グローバルな介護人材確保の戦略を立てており、介護分野における外国人介護士に対する需要の高まりが感じられた。しかし、2月~3月に予定していた調査や国際会議が新型感染症のために実施できなくなったため、文献研究に軸足を移して研究を継続することとしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
在留資格介護に関しては相当数が資格外就労の問題から在留資格が更新されないということがあり、技能実習介護に関しては2019年になっても1800名と少ない。そのため、複数の在留資格を持つ外国人介護士が就労を予定する介護施設はあるものの、調査時点ではまだ就労を開始できていなかった。介護現場に入職する以前の移住システムの問題があることから、送り出し国における調査も視野に入れつつ進める予定であるが、新型感染症により当面は介護施設における対面調査は出来ないことから、計画の変更を迫られることになる可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
インタビューや参与観察を基本としたフィールドワーク型の方法により調査計画を組み立てていたため、今後の感染症の推移によっては計画を大幅に変更せざるを得ない可能性が出てきた。特に介護施設は高齢者の居住空間であるため、感染症が完全に終息しない限り、調査を継続することは不可能である。その場合、どのように調査計画を変更すれば良いのかについては感染症の推移を見ながら検討することとしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2月~3月にかけて予定していたイギリスでの国際学会への参加、及び国内調査が新型コロナウィルスにより延期となったため、残額が生じている。
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