研究課題/領域番号 |
19K02129
|
研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
山本 崇記 静岡大学, 人文社会科学部, 准教授 (80573617)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 隣保館 / 兵庫県 / 部落差別解消推進法 / ヘイトスピーチ / アウティング / ソーシャルワーク / セツルメント / 静岡県 |
研究実績の概要 |
本年度は、2019年度(研究年度1年目)に実施した兵庫県下の隣保館調査の成果をアウトプットするために、共同で調査研究を行ったアクターと共に、検討を重ねた。そのうえで、隣保館の機能強化方策について、具体的な地域にフォーカスした、実態調査を伴った成果を発表することができ、大きな実績を達成した。また、これは、具体的に隣保館を運営する現場や兵庫県・市町村、被差別部落マイノリティ当事者と共に進めたものでもあり、本研究の課題解決型のアプローチが大きく実を結ぶことになった。 また、兵庫県と同時並行で実施していた静岡県下の隣保館調査についても成果を還元することができ、3年目には、報告書を発刊する予定である。兵庫県は全国で最も隣保館を多く抱えている県であり、一方で、静岡県は最小の職員数を抱える県である。両者の比較検討の可能性が拓かれたことも、研究年度2年目の大変大きな実績と言える。 最後に、コロナ禍という状況下に、緊急に対応することもできた。フィールドパートナーである全国隣保館連絡協議会の依頼により、全隣保館へのアンケート調査を2020年9月に実施するにあたって、アンケートの設問の設計、結果の分析・評価を実施した。これにより、コロナ禍という緊急事態の中でこそ必要な隣保館の機能や強化に向けた方策についても、より実態を可視化することができた。各地での研修、講演にも招聘されたことで、これらの研究成果を還元しながら、調査研究をマイナーチェンジし続けることができたことも、実績の背景にある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
コロナ禍という非常事態により、研究年度2年目である2020年度の研究計画は大きな変更を迫られる可能性が生じていた。しかし、逆に、非常事態であるからこそ問われる地域福祉の在り様、本研究に引き付けていえば、隣保館という地域福祉資源の実態が鮮明になった。その点を、当事者団体からの依頼により、全館調査という形で実施できたことは、従来の研究計画にプラスしてあまりある進展だったと言える。また、全国への調査についても、感染症対策を十分に施し、また、被調査施設との密なコミュニケーション、意見交換によって敢行することができ、通常の調査研究環境で実施する以上の関係形成、また、課題解決に向けた問題意識を共有することができ、研究年度3年目(最終年度)に向けて力強いステップを踏むことができたと言える。
|
今後の研究の推進方策 |
研究年度3年目である2021年度は、研究期間の最終年度でもある。静岡県下の調査結果を報告書としてまとめるとともに、未訪問の隣保館への調査を適宜実施する。そのうえで、3年間の研究成果をまとめる論文をアウトアップとする予定である。
|