研究課題
基盤研究(C)
本研究により、子と離別した父親の離婚後の生活と子に対する扶養意識は、離婚の経緯における個別的事情や当事者の関係性によって、それぞれ異なり、その要因は複合的であることが明らかとなった。この結果から、養育費制度に関しては、離婚後の規範的な父親像や理想的な離婚夫婦像を前提とすることなく、子と離別した親の扶養能力(所得や他の扶養義務など)を正確に把握し、養育費の支払いが確実に履行される合理的な制度を構築することが必要であるといえる。
家族社会学
これまで、離婚母子世帯に対する調査研究によって監護親である母親の状況は知られていたが、非監護親である父親に関する情報は限られていた。本研究により、これまで明らかにされてこなかった、子と離別した父親の離婚後の生活と扶養意識の解明が進んだことは学術的に意義がある。また、政府内において離婚後の子の養育をめぐる法制度の検討が行われているなか、本研究成果は養育費確保制度の構築に向けた議論の進展に資するものとして社会的意義がある。