研究課題
基盤研究(C)
本研究では、短大、高専および専門学校を含む短期高等教育学歴の機能とその変容に関する実証的検討をおこなった。学歴が高校卒の場合と比べて、短期高等教育学歴保持者はさらに2年程度の追加的な教育を受けているが、複数の社会調査データによる分析の結果、地位達成にそれらの学歴が及ぼす効果は性別および教育機関によって異なることがわかった。これらの違いは、内部労働市場が優勢な日本型雇用慣行下における技能形成が、女性に不利をもたらす傾向にあることと整合的に説明できることが明らかになった。
社会階層論
本研究は、同じくらいの年数の教育を高校卒業後に追加的に受けたとしても、その職業に対する影響がジェンダーや教育機関によって大きく異なることを示した。このことは、日本における技能形成や教育の職業的レリバンスを考えるうえで、教育年数や教育内容の観点から教育機関を整備していくだけでは不十分で、日本型雇用慣行の優勢な労働市場の特徴および結婚や出産および育児によるキャリア中断の問題を考慮に入れながら、実態の適切な把握のもとに様々な支援をおこなっていく必要を示している。