研究課題/領域番号 |
19K02143
|
研究機関 | 京都女子大学 |
研究代表者 |
中道 仁美 京都女子大学, 現代社会学部, 教授 (30254725)
|
研究分担者 |
大友 由紀子 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 教授 (00286121)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 女性 / 林業 / 農山村 / ジェンダー / キャリア形成 |
研究実績の概要 |
本年度は世界的なコロナ感染症のため、国内、海外調査が全く不可能となってしまったただけでなく、予定していた国際学会での報告も不可能となった。 一方、一昨年度の日本村落研究学会大会で成果の一部を報告したが、本年度は、これまでの研究成果の一部として論文にすることに専念し、「森林・林業に関わる女性の結婚・就労にみる移動とキャリア形成」という表題の論文を完成させ、日本村落研究学会の『年報 村落社会研究 36 人の移動からみた農山漁村ー村落研究の新たな地平ー』の論文として出版することができた。 本論文では、森林・林業関連産業に従事する女性の移動を結婚・就業におけるジェンダー課題と捉え、女性の職業選択と結婚というキャリア形成の視点から考察した。山村に住む女性の移動は、時代の変化と大きく関わっていることが考察された。昭和初期に生まれた女性たちの多くは近隣婚で、遠方婚は少なかった。山村で暮らし続けるため、林業関連産業に従事してきた。しかし、若い世代は山村や林業体験等が重要な要因となって、地域の林業大学校や大学の林業関連学部に進学し、林業関連産業に就職し、山村に居住し、そのまま結婚して住み続ける。林業大学校に入学し、必要な免許を取得し、「緑の雇用」制度を利用した企業に就職するという女性の新たなキャリアパスがみられるようになった。女性は労働と結婚が結びついたイエから離れることが可能になった。技術習得により、林業が職業選択の一つになったように、結婚以外に就職という選択肢が与えられたことにより、森林・林業に関係する女性の移動の様相が変化した。 論文完成後は、これまでの調査結果の集計等を行い、次年度の研究につなげることとした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
論文完成までは当初の予定通りに進んだが、調査に全く出かけられなかったことから、研究に遅れが出ている。
|
今後の研究の推進方策 |
現状では、コロナ感染症の終息が見えず、次年度の調査研究も見込めない。本研究は調査を主体として応募したものであり、内外の調査が不可能な現在、コロナ感染症が終息するまでは、これまでの調査データの見直しをおこなって、それらを利用した研究を行うしかないと考えている。 日本村落研究学会で報告した内容は国内調査に基づいたものであったが、本年度は、海外調査結果について内容の検討を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染症のパンデミックにより、国内外の調査が不可能になったことから、計画に遅れが生じた。次年度も終息が不透明であるが、2022年度の2月に海外調査が可能となれば、海外調査を優先して行きたいと考えている。不可能な場合は、国内調査にはゆきたい。 また、現在、調査・研究会議がオンラインでしか行えておらず、資料の突合せなど、難しいことが多いため、共同研究者との直接面談会議も行いたい。
|