研究課題/領域番号 |
19K02164
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研究機関 | 東北公益文科大学 |
研究代表者 |
武田 真理子 東北公益文科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (80337245)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ニュージーランド社会保障・社会福祉 / COVID-19(新型コロナウィルス感染症) / コーディネーション |
研究実績の概要 |
本研究は、社会福祉分野における「コーディネーター」とその「コーディネーション」の機能に関する理論化の第一歩として、日本の既存制度に基づく「コーディネーター」の役割の実態等に関する分析と、日本の社会保障・社会福祉が目指している官民協働による生活困窮者等の自立支援及び福祉サービスの提供を実現しているニュージーランドの社会保障制度におけるコーディネーション機能の分析を行うことを目的としている。 2020年度は、1)前年度の調査結果をまとめた論文の投稿及び学会報告、2)ニュージーランド社会保障・社会福祉制度におけるコーディネーション機能の実態を把握するための訪問調査(Community Link2か所における行政職員、民間団体・組織職員、利用者へのインタビュー調査)の実施、3)訪問調査の結果の整理・分析を行うことを計画したが、新型コロナウィルス感染症拡大の影響により、2)の訪問調査を行うことができなかった。一方、世界各国の感染症対策として保健・医療及び所得保障等の社会保障制度の運用が重大な課題として浮き彫りになり、2020年2月よりニュージーランドにおけるCOVID-19対策及び社会保障制度の機能に関する分析に取り組んだ。ニュージーランド政府及び関係機関、メディア等のウェブ上の情報の収集と分析を一年間継続し、その内容は『東北公益文科大学総合研究論集』、『日本ニュージーランド学会誌』への論文等の掲載、オンライン講演会や研究会の場において積極的に発信を行った。 以上の分析結果からは、コロナ禍において、税方式の全国民を対象とした官民連携の体制に基づくニュージーランドの社会保障・社会福祉は実質的なセーフティ・ネットとして機能し、「公平性」と「ウェルビイング」を基本原理として「ウィルスの除去」を目指すニュージーランド政府の積極的なCOVID-19対策を支える基盤となったことが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要の通り、新型コロナウィルス感染症拡大の影響により、2020年度の研究実施計画の柱となるニュージーランドへの訪問調査(Community Link2か所における行政職員、民間団体・組織職員、利用者へのインタビュー調査)を実施できなかったため、ニュージーランド社会保障・社会福祉制度におけるコーディネーション機能の実態の把握を進めることができなかった。 また、同じく感染症拡大の影響により2019年度末に課題として残された日本ボランティアコーディネーター協会をはじめとする関係機関等へのヒアリング調査も延期のままとなっており、2021年度上半期におけるオンライン調査の実施に向けて必要な手続きを進める。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間の3年目となる2021年度は、海外渡航が困難な状況が続いていることを鑑み、改めて研究計画の内容の見直しを行う。具体的には、ニュージーランド社会保障・社会福祉制度におけるコーディネーション機能の実態把握のための調査の方法の再検討を行い、1)オンラインを活用したCommunity Link等の行政職員、民間団体・組織職員へのインタビュー調査と、2)ニュージーランドへの訪問調査により行う利用者等へのインタビュー調査の2つの方法に整理し、1)を中心に調査及びその結果の分析を進める。 また、日本ボランティアコーディネーター協会をはじめとする日本国内の関係機関、研究者等へのヒアリング調査は2021年度上半期におけるオンライン調査を実施する。 研究の中間報告は、予定通り学会発表及び所属学会の学会誌への論文投稿により進める。 研究開始時の目的及び計画を可能な限り達成するために、最終報告書については、2021年度の感染症の状況により、次年度への研究期間の延長を行い、2022年度に作成することを検討したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症拡大により国内及びニュージーランドへの訪問調査が行えなかったため、旅費の支出額がゼロとなり、284,191円の残額が生じた。今年度残額は次年度の訪問調査の旅費として、また、オンラインを活用したインタビュー調査の協力者への謝礼や通信費として使用する。
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