研究課題/領域番号 |
19K02169
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
布川 日佐史 法政大学, 現代福祉学部, 教授 (70208924)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ハルツⅣ / 社会保護パッケージ法 / 社会的労働市場 |
研究実績の概要 |
COVID-19感染対策による出入国制限のため、ドイツ現地でのヒアリング調査を実施することができなかった。それに替えて、ヒアリングを予定していた研究者及び実施機関担当者とメールで意見交換を行い、重要な論点に関して研究を深めた。またオンラインで開催された研究会やシンポジウムに参加し、全体の状況把握と関連分野での進展状況の確認に努めた。 それによって、COVID-19対策としての、「社会保護パッケージ法Ⅰ」から「社会保護パッケージⅡ」への展開、さらに年末の感染第二波の下での「社会保護パッケージ法Ⅲ」の制定へと展開するプロセスと施策の内容の要点をまとめることができた。とりわけ、求職者基礎保障の利用促進・手続き簡素化について、資産要件と住宅費給付の画期的な改善が行われたことを把握することができた。 なお自営業者への基礎保障適用をめぐっては、自営業者団体からの反発が出ており、企業支援策の中に「企業家賃金」を取り入れる州が出てきたことを明らかにした。基礎保障を利用しやすくする動きと、基礎保障の手前に別制度を創設する動きとの両方が出ている状況はとても興味深い。それをもとに、日本の生活保護法の利用促進との比較検討を行った。 研究成果としては、求職者基礎保障の利用促進・手続き簡素化については、雑誌『世界』および『公的扶助研究』において紹介した。また、「社会保護パッケージ法」による対応策の全般については、「貧困研究会研究大会」において報告した。そもそも日独で対応の基本姿勢が異なることについて、その具体的現れと、要因についても検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の通り、現地調査を代替する対応により、COVID-19感染拡大下でのドイツの求職者基礎保障をめぐる論点を整理し、検討することはできた。しかし、本研究が重点を置く求職者基礎保障法第16i条「労働市場における参加」の実施状況については、現地で調査できないことゆえの制約が大きかった。また、現地においては、新たに取り組みが始まったばかりのところに感染予防対策のため、人とのコンタクトが制限され、施策の実施そのものが大きな制約を受けてもいた。こうした状況から、第16i条「労働市場における参加」についての検討を十分に進めることはできなかった。 ただし、ロックダウンの長期化により、労働需要が減退し、失業が長期化するという問題が顕在化し、長期失業者・長期受給者対策が政策上の大きな課題となってきた。第16i条「労働市場における参加」の意義が確認され、注目を浴びるようになってきているのである。こうした動向を把握することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度においてもドイツ現地調査を実施することは難しい。意見交換・情報交換を行ってきたドイツ研究者とのつながりをもとに、さらに意見交換の輪を広げ、文献・資料を入手し、それらに基づく研究を進めることとする。特に、パンデミックの下での求職者基礎保障について興味深い研究を行ってきたDIW(ドイツ経済研究所)の研究者との研究交流を進めることとしたい。 文献研究としては、新たに提出された研究報告書をもとに、検討を進める。一つは、求職者基礎保障法第16i条「労働市場における参加」の政策評価として、中間報告が提出されている。また、社会参加全般の政策展開に関する調査結果のまとめも提出されている。これらを中心に検討を行い、ドイツ側研究者との意見交換を持続することにより、着実に研究を進捗させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染対策のため、ドイツへの渡航、現地調査ができず、予定した旅費の執行ができなかったため。 ドイツ現地調査を今年度末(2022年3月)に計画する。 また、2022年度には、夏季休業中(2022年9月)もしくは冬季休業中(2022年12月)に、ある程度の日数をかけたドイツ現地調査を行う。
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