研究課題/領域番号 |
19K02181
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
伊東 美緒 群馬大学, 大学院保健学研究科, 准教授 (20450562)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 認知症ケア / 過疎地域 / 情報伝達 |
研究実績の概要 |
高齢化が進みケア専門職のマンパワーが不足する全国の過疎地域においては、認知症高齢者の支援は、介護家族や地域住民に頼らざるを得ない実態がある。認知症の人を支えるためのコミュニケーションの基本的知識がない状態で介護にあたると、認知症の人の混乱が増し、認知症の行動・心理症状(BPSD)を悪化させ、介護家族を疲弊させることにつながる。しかし地域包括支援センターでは、地域住民への知識提供が重要と認識しつつも、教材やマンパワーの不足により、十分には対応できていない現状がある。 そのため、本研究では、①過疎地域における地域住民向けの認知症ケア情報の提供状況についての実態調査と、②役所や地域包括支援センターの職員が活用できる認知症ケアに関する情報伝達のための研修介入の評価を実施することを計画した。 当該年度は、新型コロナウィルスにより、大学での授業がすべてオンラインになったため、とくに演習や実習をオンラインでどう実施するかを検討し、教材を独自に作成することに時間を要し、調査準備が整わなかった。また、群馬県の過疎地域にある地域包括支援センターの職員に近況についてヒアリングしたところ、現在はなにも実施できていない状況で、現状として適切に調査に回答するのが難しいという意見であった。そのため、調査実施を遅らせて、介入調査用の資料の作成に取り組むにとどまった。 全体的に進行を遅らせざるを得ない状況であるため、研究の延長を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2019年度末から新型コロナウィルスにより、大学の授業が全面的にオンライン授業になった。講義に関しては、Zoomの扱いに慣れれば対応できたが、演習や実習もすべてオンラインになったため、オンラインで少しでも体験に近い学習をできるように独自に教材を作成することに時間を要した。また、群馬県の過疎地域にある地域包括支援センターの職員にヒアリングしたところ、現状では集団で集まることができないためほぼ何もできていない状況で調査に近況を回答することが難しいという回答を得た。そのため、調査や研修介入を遅らせざるを得ない状況である。 変異型ウィルスが広がりつつあるため、今年度も状況が改善しなければ、研究の延長を申請する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
調査票については、新型コロナウィルスの状況が落ち着いてから、プレテストを実施し、倫理審査に申請する予定であったが、落ち着く様子が認められないため、プレテスト協力者に郵送で送り、意見をZoomを使っていただくように調整する。新型コロナウィルスの対策のために、地域住民を招いた集団研修は昨年度は実施されていないところがほとんどであるため、それ以前の状況と新型コロナウィルス対策を取ってからの集団研修の実施や相談の状況について実態調査を行うことにする。 家族向けの研修教材については、現段階で作成しているものを用いて、身近な家族等にプレ講義を行い、わかりにくいところを抽出し、文言およびイラストの修正を行うなど、可能なことを行いつつ、新型コロナウィルスの状況が落ち着き、少数の研修が行える状況で、地方に研究者が訪問することが可能になった場合には、ただちに訪問し、地域包括支援センター職員による本研究の教材を用いた研修介入の効果を調査する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの影響を受け、研究の進行が遅延している。本研究は①全国の過疎地域における認知症ケアに関する知識の情報伝達に関する実態調査、②各地域包括支援センターの職員が本研究で作成した研修教材を用いて研修介入を行うことの効果について調査する予定であるが、どちらも達成できていない。調査準備および研修教材の作成は行っているが、調査および研修介入の両方を実施できていないため、調査にかかる費用がすべて残っている。また他県への移動が困難であるため、共同研究者らとの打ち合わせや研修介入のための旅費は一切活用できていない状況である。現在も新型コロナウィルスの状況は芳しくないため、次年度は郵送調査のみ実施し、研修介入については実施できない場合には延長することも検討している。郵送調査の実施については、過疎地域の地域包括支援センターの意見を確認して調査時期を検討する。
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