少ない社会資源で多くの認知症高齢者を支える高齢化が進行した地域の地域包括支援センターの活動の特徴を理解するために、①高齢化エリア(各都道府県の高齢化率が高い上位10市町村のすべての地域包括支援センター)、②平均年齢エリア(各都道府県の平均年齢と同等の一市区町村にあるすべての地域包括支援センター)、県庁所在地エリア(各都道府県の県庁所在地にある地域包括支援センターのうちランダムに①と同数を選定)に調査票を配布し、調査を実施した。 2022年10月5日から2022年10月28日を調査期間とし、回収率は高齢化エリア19.5%、平均年齢エリア47.1%、県庁所在地エリアは3.3%であった。 独自に行っている介護保険外サービスは、地域間の有意な差は認められず、回答した地域包括支援センターの約半数が実施していた。3つのエリアで共通して実施されていたのは、配食、地域住民が集まる機会の提供、移動・外出支援、緊急通報事業、GPS貸与・助成などであった。高齢化エリアでは、見守りネットワークやSOSネットワークの構築に取り組んでいる地域包括支援センターが他のエリアよりも多かった。また、高齢化エリアでは、地域により除雪支援、雪かきボランティア、越冬入所など雪国ならではの対応も記載されていた。 認知症の人への対応が困難であった状況については、すべてのエリアで近隣トラブルが挙げられたが、特に高齢化エリアで多かった。対応がうまくいった事例としては、遠方に住む家族に連絡して介護保険サービスにつなげたり、近隣住民に見守り依頼をしたり、認知症理解を促す活動を行っていた。 地域包括支援センターは地域の状況に合わせて独自の支援を展開していたが、認知症対応については苦慮することが多い状況であることが理解できた。
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