研究課題/領域番号 |
19K02183
|
研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
安野 舞子 横浜国立大学, 高大接続・全学教育推進センター, 准教授 (20507793)
|
研究分担者 |
安藤 孝敏 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (00202789)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 人と動物の関係 / 高齢者とペット飼育 / 高齢者福祉 / 伴侶動物福祉 / 地域包括ケアシステム |
研究実績の概要 |
本研究は、超高齢社会をひた進む我が国において、高齢者が伴侶動物と共に最期まで生き生きとした生活を続けていけるためのサポート・システムのあり方を検討し、最終的に、高齢者と伴侶動物両者の福祉が守られるサポート体制モデルを提案することを目的とする。この目的遂行のために、研究初年度となる令和元年度は、ペットと入居できる高齢者施設を訪問して聞き取り調査を行うと共に、自宅に居ながら最後までペットと共に生きることを希望する高齢者とそのペットを日常的にサポートできるシステム構築を目指すNPO団体の活動について調査した。 これらの調査で明らかになったこととして、特にペット入居型高齢者施設については、施設が高齢者およびそのペットを問題なくケアできるようになるためには相当の人的および金銭的リソースと、システムを回すための工夫が必要であり、人的リソースに関しては、施設スタッフの他、動物愛護団体(や個人)のボランティア、獣医師の連携プレーなしでは成り立たない、ということである。金銭面に関しては、特に企業が運営する有料老人ホーム系施設の場合、かなり整った設備環境が提供できている分、相応の入居費用となるため、ある程度の資産をもつ高齢者でないと入居できないというジレンマが潜んでいるように窺えた。そのため、こうした人的リソースや設備が整った施設が各地に広まることはそう容易ではなく、それ故、仮にある程度資産はあっても、高齢となった今、慣れ親しんだ故郷を離れて遠方の施設に入居しようと思う高齢者もあまり多くはなく、高齢者の思いと施設の思いが上手くマッチしていない現状があるように思われる。よって、こうした課題をどのように乗り越えるかが鍵であり、一方、高齢者が在宅のまま最後までペットを飼育できる効果的なシステムが”車の両輪”として存在することで、この問題はかなり解決の方向に向かうであろうことが予測できる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、当該年度に予定していた研究計画のうち、ペットを飼育している高齢者へのインタビューおよびアンケート調査は実施できなかったが、翌年度実施予定だった国内(訪問)調査を先に実施したことで、ペット入居可高齢者施設および高齢者在宅によるペット飼育にまつわる問題や課題の抽出が出来た為、今後行う、当事者たる高齢者への聞き取り調査が、より的を絞って行い易くなったと言える。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究として、当初は海外の関連施設の訪問調査等を予定していたが、新型コロナウイルスの影響で海外渡航およびフィールドでの調査は難しいと判断し、今後、海外の渡航による調査は行わず、文献調査に留めることとする。 一方、国内の訪問調査についても、新型コロナウイルスの状況から、特に高齢者施設における高齢者への聞き取り調査の実施は難しい状態にあり、この聞き取り調査に関しては、今後の社会情勢を見ながら実施を検討することとする。その他、聞き取りを予定していた、サービス支援者(行政職員、福祉サービス専門家、 介護施設職員、獣医師、動物関係ボランティア)へのインタビュー調査は予定通り実施し、実態の把握と問題点の洗い出しを行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては、本年度に購入する予定であったパソコンを購入しなかったためである。翌年度はパソコンも含め必要な備品を購入しつつ、引き続き聞き取り調査を実施する。
|