研究課題/領域番号 |
19K02203
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研究機関 | 羽衣国際大学 |
研究代表者 |
渋谷 光美 羽衣国際大学, 人間生活学部, 教授 (70567635)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 児童労働 / 西洋装飾文化 / イギリス産業革命期 / アンティーク・レース工場 / ストリートチルドレン / 児童虐待 / 家族関係 / コミュニケーション |
研究実績の概要 |
今年度の研究実績については、下記の2点が挙げられる。 第一に、現地調査に基づく論文「子ども期における貧困とケアサポートーーフィリピンでのソーシャルワーク事例を通じた検討」(2021.3)の調査結果、考察内容について、歴史性や今日の関連問題を含めた複数の観点から、文献調査を実施した。 第二に次年度の国内調査の可能性に向けた研究設計の再構築とフィールドの新規開拓準備等に関する研究実績である。 第一に関しては、とくにもう一つの科研費助成研究の成果である、論文「ライフコースにおける子ども期の変容と家族関係--ヨーロッパ中世の子ども期と産業革命期の児童労働」(2020.3)の考察も踏まえ、西洋装飾文化に関する歴史的位置づけの変容やとくに各時代の特権階級層の装飾文化による権力の集中と象徴化、および職人等とともに貧困層の児童労働に関する文献研究を進めた。フィリピンでの現地調査結果を踏まえ、今日の児童労働、またストリートチルドレン課題、さらに日本の家族関係として、ひきこもりとケアの問題は社会発信をした。虐待、性暴力と裁判闘争において、家族を訴える事態へのサポートの在り様、その点は、「コミュニケーションとは」という基礎研究からの文献研究を含め、いかなる関係性の構築の中で、いわゆる当事者としての生活に困難を抱える子どもたちへのケアサポートが問われるのか、その位置づけや国際的な観点から、また子どもたちの生活拠点とともに、学校生活の場における支援現場の状況の変遷と、教師やソーシャルワーカー、ケアワーカーをはじめとした専門職にかかるコミュニケーションとして求められる観点等も含め文献研究を実施した。 第二については、第一の文献研究で得られた知見、考察に関連して、国内のフィリピンをはじめとした外国籍のルーツを有する方々へのインタビュー調査に向けた研究方法の再構築、次年度からの調査実施を視野に研究した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスによる渡航困難により、海外での現地調査等が実施できない状況下になっている影響が大きい。しかし、実施できたフィリピンでの現地調査の成果が予想以上に大きかったことにより、生活に困難を抱える子どもへのケアサポートとして、歴史的な観点からの考察や、フィリピンをはじめとした国際社会の問題として、日本の状況も含め、文献研究としての成果を得ることができた。その成果を活かし、延長期間で研究の進捗度合を進めていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
第一に、歴史的観点や国際的な視野からの考察を含めた文献研究については、引き続き実施していく。先行研究レビューのための文献の情報収集を行い、その分析を踏まえて、研究の独自性を踏まえた観点からの考察として、社会的に発信していく。 第二に、国内調査を中心に、まずはインタビュー調査のプレ調査を実施していきたい。その上で、フィリピンの貧困層の子どものケアにかかる課題に関連する発展的な調査としての再設計も行い、社会的発信につなげたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
文献研究のための文献購入費等が中心であったため。
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