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2019 年度 実施状況報告書

関係発達論による認知症の人のエンド・オブ・ライフケアの構築―日瑞の比較を通して―

研究課題

研究課題/領域番号 19K02204
研究機関関西学院大学

研究代表者

市瀬 晶子  関西学院大学, 人間福祉学部, 専任講師 (50632361)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードエンド・オブ・ライフケア / 認知症の人の世界 / 周辺症状 / 関与観察
研究実績の概要

認知症の人とその家族、支援者はどのように認知症とともに生きる枠組みを作り上げているのかを明らかにするため、2019年度は「人を対象とする行動学系研究」倫理審査の承認を受けた上で、Aグループホームにて11月~3月にかけて約143.5時間の関与観察調査を行った。
関与観察の調査からは、「日常にある最期の話題」「認知症を生きる不安」「これまでの生活を続ける」「認知症の人のコミュニケーション」「周辺症状の意味」というテーマが見出された。昼食後での雑談で「もうこんな歳になると子供に戻る。あとはすっと逝きたい」「最後はどうなるかわからん、人間じゃもの」、「息子でも何考えているか分からない。最後どうしてくれるか分からない」と、エンド・オブ・ライフについての話題が日常生活の中で自然に交わされていた。また、認知症の人は病態失認があると言われているが、Aさんは就寝前に真剣な顔で「私、直さなきゃいけないところがあったらちゃんと言ってね、お願いね」「私ボケ老人になったんじゃないかしら?」「私怖い顔してない?」と尋ねてこられ、変わりゆく自分を分かっていてそれに真剣に対処しようとする認知症の人の姿が窺えた。また、Gさんには不安、イライラ、焦燥、大声を出す、叩くといった周辺症状が見られたが、スタッフはGさんの怒りや暴力行為をGさんが言葉で伝えることのできない不快感や何をされるか分からない恐怖の表現と理解していた。調査からは、変わりゆく自分を分かっていてそれに必死に対処しようとしている、不快感や恐怖を言葉で表現できないために怒りで伝えるしかないといった認知症を生きる不安や恐れが見えてきた。また、自分がどのように死を迎えるか、自分の最後(の看取り)を家族がどう考えていてくれるのかは認知症の人が普段から口にする重要な関心事であることが窺えた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

グループホームでの関与観察調査は3月以降も継続する予定であったが、新型コロナウイルスの感染拡大予防のためグループホームに立ち入ることができなくなり、現時点(2019年5月)でも中断となっている。

今後の研究の推進方策

当初計画では、2020年4月よりスウェーデンのグループホームで日本と同様の関与観察調査を開始する予定だった。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大防止のためスウェーデン政府は3月19日より不急不要の入境を一時的に封鎖する措置をし、スウェーデンの移民局から4月末まで滞在許可が下りなかった。また、スウェーデンでは新型コロナウイルスによって亡くなった人は高齢者施設で多く、現在、スウェーデンの共同研究者がグループホームの管理者と連絡を取り、調査の可能性を調整している。調査の許可が下りれば8月下旬より2021年3月までスウェーデンのグループホームでの調査の実施を計画している。もしもグループホームにおいて調査の許可が下りなかった場合は、オンラインでインタビュー調査を依頼するなどの代替方法を考えている。

次年度使用額が生じた理由

物品費について今年度購入を予定していた調査データ保存用カメラの購入を次年度に見送った。旅費についてスウェーデンから共同研究者を招聘する際の往復旅費を計上していたが、所属機関の学内助成制度により補助を受けることができたため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は主にスウェーデンでの調査に対する謝金、通訳への謝金に使用する計画である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 国際共同研究 (1件)

  • [国際共同研究] メーラダーレン大学(スウェーデン)

    • 国名
      スウェーデン
    • 外国機関名
      メーラダーレン大学

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公開日: 2021-01-27  

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