研究課題/領域番号 |
19K02208
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研究機関 | 中部学院大学短期大学部 |
研究代表者 |
高野 晃伸 中部学院大学短期大学部, 社会福祉学科, 准教授 (60512879)
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研究分担者 |
吉川 杉生 中部学院大学短期大学部, 社会福祉学科, 教授 (10331597)
中川 雅人 中部学院大学, スポーツ健康科学部, 教授 (10352832)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 3Dプリンタ等デジタル工作技術 / 福祉用具作製 / 介護職員の実践的教育プログラム / デジタル工作技術の基礎的研修会 / 介護福祉士養成校の学生 / 3Dプリンタ活用教育 |
研究実績の概要 |
本研究は、3Dプリンタ等のデジタル工作技術を、介護分野での福祉用具作製に活用できる介護専門職の養成を目的とし、そのための実践的教育プログラムの開発と効果的な実施を促す体制(プラットフォーム)の構築を目指すものである。3年計画の研究であり、本年はその1年目で、これまでに作成したデジタル工作技術の学習プログラムを土台として、ワークショップで目指すアセスメント力向上と実際の課題解決に必要な教育内容と方法を検討することとしていた。そこで、介護現場職員との福祉用具作製と意見交換会の開催、および介護現場職員に向けたデジタル工作技術の基礎的研修機会の提供のため、介護福祉施設に案内を郵送し、2020年3月10日に1回目の研修会開催を予定していた。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響により開催が中止となり、さらにその後に予定していた現場職員との意見交換会も延期となっている。 また、教育現場以外の他分野との意見交換による情報収集を目的として、2月28日に地域産学官連携交流会に参加を予定していたが、同様の理由により開催中止となっている。 これまでに作成してきたデジタル工作技術の実践的教育プログラムの実践と評価をおこなうため、継続的に介護福祉士養成校で学ぶ学生を対象とした教育実践は継続的に実施している。介護現場実習の経験から、学生が考えた福祉機器を3Dプリンタで作製し、現場で実際に活用することで介護職員の評価を受けている。 これらの活動に対する研究業績として、今年度では、日本介護福祉教育学会 編集・発行「介護福祉教育」第24巻 第1号・第2号 2020年4月に、「介護福祉士養成校の学生に対する3Dプリンタ活用教育の実践と評価―デジタル工作技術を用いた福祉用具の作製―」が掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
遅れている最大の理由は、2019年度末から感染拡大した新型コロナウイルスの影響にあるといえる。本研究が対象としているのは、介護現場の職員であり、その介護現場は虚弱な要介護者が生活をしているため、感染症には細心の注意が払われている。そのため、新型コロナウイルスの感染拡大が報道されて以降、研究協力の意思表示を示していた職員からの辞退があり、開催を予定していた研修会の延期をせざる得ない状況となってしまった。 意見交換会や研修会の開催準備に手間取ってしまい、開催時期が遅れたことは、介護福祉士養成校の学生に対するデジタル工作技術の実践的教育プログラムの実践と評価を平行して取り組んでいたことが要因の一つと考えられる。学生による実践に時間を要してしまい、さらに介護現場職員からの評価は一定の期間を必要とするため、結果を段階的に確認する時間が必要であった。教育プログラムの開発と効果的な実践を促すことが研究の主目的であるため、他者からの評価や意見が重要な情報となる。よって、今後も社会情勢を踏まえつつ、他者からの理解を得られるような環境の構築を整えることで、継続的に研究を実施できるようにしてくことが必要と考える。
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今後の研究の推進方策 |
社会情勢の影響を確認しながら、感染拡大防止の条件が整ったところで、これまでに予定していた介護現場職員との意見交換会や研修会の早期開催ができるよう準備をすすめていく。感染症の拡大以前に計画していた、これらの活動に対する参加協力の意思表示を示した介護現場職員が複数いるため、その協力者との連携を図ることで、再開後はスムーズに実施するできる条件は整っている。 当初の計画では、2年目には、学生、現場職員にデジタル工作技術の開発等に携わるメンバーを加えた、課題解決型のワークショップを定期的に開催し、その成果と蓄積されたデータの検証を踏まえた教育プログラムの改善と、デジタル工作技術に関する情報公開に向けた準備をすすめることとしていた。これらの計画について、介護福祉士養成校の学生や介護現場職員を対象としたデジタル工作技術の教育プログラム開発の基礎データは既にそろっているため、今後の研究推進のため、社会情勢を鑑みて早急に取り掛かることができるよう、構造的に教育プログラムを整備しておく。さらに、他大学や団体の研究活動の聞き取り調査を実施し、情報公開などの具体的な進め方を検討することを予定しているため、早い段階から情報収集につとめ、WEBなどを活用しながら連絡調整をおこなっていく。 以上のように新型コロナウイルス感染の状況に今後の活動が大きく影響されるが、状況をみながら研究遂行のための環境整備や準備を整えることで、研究計画に添えるような活動を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、計画通りに研究活動が実施できなかったことが主な理由である。介護現場職員との意見交換や、介護現場職員に向けたデジタル工作技術の基礎的研修の開催を計画し、それに必要なパソコン等の備品を整備していたが、双方ともに実践には至らなかった。そのため、必要経費として予定していた参加者への謝金や設備備品などで予定していた費用が生じていない。 2年目以降では、社会情勢の環境が整えば、これまでに遅れていた研究計画を実施することは十分可能であるため、研究活動実施に必要な経費と判断される。 また本研究では、最終的に目指すものは、開発された実践的教育プログラムの効果的な実践を促す体制(プラットフォーム)の構築であり、そのための準備としてドメイン取得やサーバーレンタルなどを行う予定である。また、他大学や研究団体との情報交換をおこなうため、交通費や謝金、および得られた情報の実践など研究活動の発展に新たな備品購入が予測される。デジタル工作技術では、海外品の方がより効果的な成果が期待される場合があるため、それらを整えることで、より効果的な研究環境の構築が期待できるといえる。
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