研究課題/領域番号 |
19K02212
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
矢嶋 里絵 首都大学東京, 人文科学研究科, 教授 (40254130)
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研究分担者 |
木下 秀雄 龍谷大学, 法学部, 教授 (50161534)
金川 めぐみ 和歌山大学, 経済学部, 准教授 (70335496)
鈴木 静 愛媛大学, 法文学部, 教授 (80335885)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 知的障がい者 / やまゆり園事件 / 人権 / 優生思想 |
研究実績の概要 |
1.施設および地域において知的障がい者の生活をささえる支援者に、支援の現状と課題について聞き取り調査を行った。まずA施設は、居住施設を終の棲家としないいわゆる「通過型」ととらえ、能力存在推定の考え方に基づく科学的実践を行っており、年平均10名程の利用者が地域に移行している(2019年9月調査実施)。つぎにB施設は、データや科学的根拠に基づく利用者支援を目指しており、食事の改善等に積極的にとりくんでいるが、実態に合わない人員不足等により地域移行が形骸化している(2020年2月調査実施)。さらに、C自立生活センターを対象に、知的障がい者の地域生活を支える介助者がかかえる課題について聞き取りを行った(2019年11月実施)。その結果、課題解決策としてオープンダイアローグの実践を試みており一定の効果をあげていること、地域福祉の支援者として施設をどうとらえているか、障がい者施策をいかに評価しているのか等について聞くことができた。 いずれの調査結果についても研究者間で共有し、研究会やメール会議で検討を行った。 2.これまでの研究成果を、井上英夫ほか編『いのちを選ばないでーやまゆり園事件が問う優生思想と人権』(大月書店2019年)において公表した。同書で、井上英夫は「人権をかかげよう」、鈴木靜は「社会福祉施設における労働・生活権保障の現状と課題」、矢嶋里絵は「障がいのある人と家族の人権保障の現状と課題」を執筆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.すでに実施した津久井やまゆり園関係者・行政職員・利用者家族に加えて、施設および地域で生活する知的障がい者を支援する担当者に聞き取り調査を実施できた。 2.これまでの研究成果を論文で発表した。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度と同様、文献研究と聞き取り調査を併行して行う。とりわけ2020年度は、これまで十分に検討できなかった海外との比較研究、すなわち優生思想を否定し、その克服に力を入れてきたアメリカ・ドイツ・ノルウェーの障がい者及び家族関係法にかんする分析に力点をおいた研究を行う。新型コロナ感染流行のため、国内外での聞き取り調査が困難であることから、文献研究を中心とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査対象者の都合により、当初予定していた聞き取り調査を一部実施できなかった。
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