研究課題
本研究では、定常化する社会に対応する幸福を志向する地域福祉を「増進型地域福祉」と命名し、その検討を行った。コミュニティレベル(メゾレベル)の福祉実践に焦点を当てて、幸福を生みだす地域福祉の実践や援助方法を体系化することを目指した。研究の内容としては1.定常化社会での幸福を志向する地域福祉(増進型地域福祉)の理論研究、2.よりよいあり方を生み出す事例や試行実践を対象とする実践研究、3.メゾレベルでの増進型地域福祉の実践方法、および援助方法の体系化、である。その特徴としては、理論研究と実践研究を合わせて行うというものであった。この間コロナ等の影響もあって、科研の期間を1年間延長したが、最終的に研究者と現場の実践者の共同による成果物を生み出すことができた。小野達也・朝倉美江編著『増進型地域福祉への展開』2022年、である。これは本科研の研究者6名全員と、研究に関わり合った現場の実践者6名による執筆となっている。本書は地域福祉の分野において幸福に焦点を当てた開拓的な著作であり、地域福祉実践研究での新しい局面を開く可能性を持つと考えることができる。増進型地域福祉自体はいまだ理論的にも実践的にも構築途上であるものの、本科研の研究成果を具体的に示すことができた。また、日本地域福祉学会第36回大会(福岡大会)において、科研の研究者全員が分科会で増進型地域福祉に関する研究成果を発表した。さらに2023年3月には、近畿地域福祉学会と日本地域福祉学会東海北陸ブロックの共同企画として、増進型地域福祉フォーラムをオンラインで実施し、約90名の参加者を得ることができた。本科研の成果をもとに、引き続き増進型地域福祉の方法論に焦点を当てた研究を発展的に進めることになっている。
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月間福祉
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日本福祉教育・ボランティア学習学会 研究紀要
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生活協同組合研究
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コミュニティ ソーシャルワーク
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