研究課題/領域番号 |
19K02219
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研究機関 | 城西国際大学 |
研究代表者 |
佐野 智子 城西国際大学, 福祉総合学部, 准教授 (50348455)
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研究分担者 |
森田 恵子 大東文化大学, スポーツ健康科学部, 教授 (60369345)
勝谷 紀子 北陸学院大学, 人間総合学部(社会学科), 教授 (90598658)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 加齢性難聴 / 健康教育プログラム / 実態調査 / コミュニケーション / 補聴器 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,地域住民の加齢性難聴への理解を深め,適切な対処を可能にするための「耳の健康教育プログラム」を開発することである。2019年度は,予備的研究として,①加齢性難聴に関する全国調査の実施,②教育プログラムの内容を検討するために,難聴対策の進んでいるオーストラリアの現状調査を行った。 日本における加齢性難聴への対策の現状を把握することを目的とし,全国の自治体を対象に実態調査を実施した。その結果,窓口等で加齢性難聴者との対応にあたっている職員の約8割が,その対応で困ったことがあると回答した。個人的には対処の工夫をしていたが,制度や環境整備等は十分でないことが明らかになった。特に,聴力検診に関しては,回答のあった自治体のうち,実施していたのは僅か2.1%に過ぎず,96.3%の団体は未実施だった。しかも今後も実施予定がないところがほとんどであった。加齢性難聴に関して,日本では対策が進んでいない現状が明らかになった。(現在論文執筆中) 一方,オーストラリアでは,政府主導で70年以上前より聴覚障害者の支援を行っているため,さまざまな支援体制が構築されている。近年は言語聴覚の分野に関する研究,教育,臨床,開発等を共同で行うための機関「Hearing Hub」が,政府の資金と大学の協力によって設立された。そこで「耳の健康教育プログラム」に含める内容の検討を目的とし,Hearing Hubを視察した。(現在論文執筆中)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本における実態調査の実施及びオーストラリアの現状調査に関しては,予定通り実施できた。しかし,当初予定していた,日本国内の難聴対策に関する先進的な取り組みをしている自治体への調査が未実施であった。取り組みを実施している団体自体が少なかったこと,調査協力を承諾した自治体はさらに少なかったこと,加えて新型コロナウイルス感染拡大の影響により,調査実施が困難であったことが,その理由である。
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今後の研究の推進方策 |
まずは,2019度に未実施であった国内の先進的取り組みの調査を,方法を変更して実施し,その結果と2019年度実施の調査結果に基づき,2020度は「耳の健康教育プログラム」を開発する。また,開発したプログラムを実施して,その効果を検討する。効果検討では,プログラムの内容,プログラムの順序,実施方法について検討し,必要であれば修正版のプログラムを作成する。2021年度には,当該「耳の健康教育プログラム」の実施と効果測定を,前年度より大きい規模で行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた日本国内における難聴対策の先進的取り組みの視察調査が,新型コロナウイルスの感染拡大により実施できなかったため,その分の余剰金が生じた。視察調査の実施を翌年度にずらし,当該助成金は,その調査のために使用する。2020年度分として請求した助成金は,予定通り,「耳の健康教育プログラム」開発とその効果検証のために使用する。
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