研究課題/領域番号 |
19K02220
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研究機関 | 大妻女子大学 |
研究代表者 |
小川 浩 大妻女子大学, 人間関係学部, 教授 (20365050)
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研究分担者 |
若林 功 常磐大学, 人間科学部, 准教授 (20714934)
福島 哲夫 大妻女子大学, 人間関係学部, 教授 (60316916)
山蔦 圭輔 大妻女子大学, 人間関係学部, 准教授 (80440361) [辞退]
本田 周二 大妻女子大学, 人間関係学部, 准教授 (00599706)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 職場適応援助者 / ジョブコーチ / 障害者雇用 / 就労支援 / 職能評価基準 |
研究実績の概要 |
障害者雇用及び就労支援に関わる知識、方法、技術に関する専門研修である職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修(以下、養成研修とする。)で取り扱う専門性及び職能評価基準の明確化を目的に、第1次調査は2017~2019年度の養成研修修了者、第2次調査は2015~2016年度、及び2020~2021年度の養成研修修了者を対象にアンケート調査を実施した。本年度は、結果の基礎的集計を行い、報告書を作成した。その結果、養成研修修了者が頻度高く行う業務は、「人間関係およびコミュニケーションの向上支援」「障害特性に応じた職務内容及び実施方法の調整」「対象者の特性や関わり方、仕事の教え方、雇用管理等に関する上司や同僚に対する助言」等であり、ジョブコーチに必要な知識・スキルとしては、「対象者への障害特性に応じた支援」「職務適性・職務能力等のアセスメントのスキル」「障害特性及び障害特性に応じた職業的課題に関する知識」が上位であり、一般的な雇用管理や業務指導に関する内容よりも、障害特性に関する知識を土台とした専門的内容が求められていた。訪問型職場適応援助者と企業在籍型職場適応援助者の比較では、訪問型職場適応援助者は「支援記録の作成」「就労(職業)相談」「障害者本人のアセスメント」などの基本事項を頻繁に行っているが、企業在籍型職場適応援助者は「仕事の行い方の習得に関する直接支援」「人間関係およびコミュニケーションの向上支援」「作業課題を改善する業務」等の職場適応援助に直接関わる業務を頻繁に行っていた。インタビュー調査においては、企業在籍型職場適応援助者はアセスメント、職務分析と作業指導、ナチュラルサポートの形成等を重要としている一方、訪問型職場適応援助者では、企業文化の理解、就労支援のプロセス、就労支援に関する制度、障害特性と職業理解など、より基礎的な内容を重要とする意見も多かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2019年度:ジョブコーチ職能評価基準を検討する上での基礎情報として、①米国のCertified Employment Support Professionalに関する研究、②我が国の職業リハビリテーション・就労支援専門職に関する先行研究の把握を行った。 2020年度:先行研究のレビュー及び障害者雇用・就労支援の実務経験者、学識経験者からのヒアリングをもとに、ジョブコーチに求められる知識・スキルに関する質問紙調査を作成し、2017~2019年度の職場適応援助者養成研修修了者を対象にアンケート調査を実施した。 2021年度:「ジョブコーチに求められる知識・スキルに関する質問紙調査」で得られたデータをもとに更なる分析を行い、日本職業リハビリテーション学会愛知大会において、「訪問型および企業在籍型ジョブコーチの実情」、「支援者の所属機関による相違」、「支援対象者の障害種類による相違」の3件の発表を行った。 2022年度:2020年度から2022年度の修了者を加え、業務の実態、求められる知識・スキル等についてアンケート調査を実施した。また、インタビューによる質的調査を実施した。 2023年度:2017~2022年度の養成研修修了者の情報を総合して分析し、基礎的な集計に基づく報告書を作成した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、ジョブコーチに求められる専門性の要素の整理、職場適応援助者養成研修修了者が従事している業務内容の把握(訪問型及び企業在籍型)、さらに養成研修修了者が実務を通して必要性、有用性を感じている要素を明らかにした。 一方、この間、厚生労働省は障害者雇用・就労支援に関わる人材養成及びその研修体系について集中的な検討を行い、基礎的研修、職場適応援助者養成研修、職場適応援助者上級研修の枠組みを新たに設けた。 今後は、このような国の施策と関連させつつ、厚生労働省が階層化した研修体系が提供する専門知識・スキルについて、資格化を目標として、能力評価基準をさらに明確にすると共に、それらをどのように測定・評価するのかについて、具体的に領域、項目に整理した上で質問項目を作成し、評価基準の妥当性を検証していくことが必要になる。来年度、それらの課題と方向性を更に整理した上で、次の段階の科研費申請につなげていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に総括報告書作成するため。
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