研究課題/領域番号 |
19K02221
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
伊藤 冨士江 上智大学, 総合人間科学部, 教授 (00258328)
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研究分担者 |
大岡 由佳 武庫川女子大学短期大学部, 心理・人間関係学科, 准教授 (10469364)
大塚 淳子 帝京平成大学, 現代ライフ学部, 教授 (50770418)
平山 真理 白鴎大学, 法学部, 教授 (20406234)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 犯罪被害 / 被害者支援 / 心的外傷後成長(PTG) / レジリエンス / トラウマ |
研究実績の概要 |
「人は苛烈な体験を経た後に、どのように積極的な意味を見出すことができるか」という問いのもと、本研究では犯罪被害者(犯罪被害当事者、その家族および遺族を含む。以下、被害者)に焦点を当て、被害者がどのように被害から「回復」し、生活の再構築に向かうことができるか、その促進要因を社会福祉的視点から明らかにすることを目的としている。 2019年度は逆境体験における「心的外傷後成長(Posttraumatic growth、以下、PTG)」、「レジリエンス」、「意味づけ」といったポジティヴな心理的変容の概念整理を行うため、ポーランドとカナダへの海外出張を行った。ポーランドではアウシュビッツ博物館のある街を現地調査し、公式ガイドの説明とやり取りを通して苛烈な強制収容所体験における「意味づけ」について分析・検討した。 カナダのオタワ出張では、Algonquin College のDr. Benjamin Roebuckに面会した。Dr. Roebuckは2017年に「Resilience and survivors of violent crime」と題する調査研究を実施した研究代表者で、暴力犯罪の被害者の「回復」促進要因を多角的に分析し、その研究成果を発表したところである。本研究はこの調査研究から着想を得ている。Dr. Roebuckからはカナダにおける被害者支援の現況や、本研究を実施するうえでの具体的教示を得た。また、今後の調査の進め方について助言を得る関係を築くことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度は研究代表者による海外出張を9月と2月に実施し、レジリエンス、PTG、意味づけに関する基礎的資料を得た。とくにカナダ・オタワ出張では、Algonquin College のDr. Benjamin Roebuckから本研究の調査に関して具体的な教示を直接得ることができた。 2020年3月から調査アウトラインを決め調査実施に進む予定だったが、新型コロナウィルスの感染拡大の影響で停滞を余儀なくされている。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、まず犯罪被害者のPTGの程度と「回復」過程を促進する要因を明らかにするため、①オンライン調査を実施する予定である。つぎに、オンライン調査の協力者の中から同意を得た方を対象に、「回復」やPTGを促進した要因を質的に探るため、②インタビュー調査を実施する予定である。 調査①②のアウトラインの確定と調査協力者の選定に時間を要することが予想されるが、研究分担者と協力して鋭意進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度はPTGやレジリエンスを研究するための海外出張を行い、科研費調査に必要な資料や具体的教示を得ることができたが、研究計画にある犯罪被害者を対象としたオンライン調査とインタビュー調査を実施するまでに至らなかった。 2020年度は上記の調査を実施する予定である。
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