研究課題/領域番号 |
19K02221
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
伊藤 冨士江 上智大学, 総合人間科学部, 研究員 (00258328)
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研究分担者 |
大岡 由佳 武庫川女子大学短期大学部, 心理・人間関係学科, 准教授 (10469364)
大塚 淳子 帝京平成大学, 人文社会学部, 教授 (50770418)
平山 真理 白鴎大学, 法学部, 教授 (20406234)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 犯罪被害 / 被害者支援 / 犯罪被害者等施策 / 被害回復 / 心的外傷後成長(PTG) / トラウマ |
研究実績の概要 |
本研究は「被害からの回復」をテーマに、犯罪被害者等(家族、遺族を含む)を対象に被害後の影響、制度・支援の利用状況等の実態を明らかにし、被害回復、よりよい被害者支援のあり方を社会福祉的視点から探ることを目的とした。方法は量的調査(オンライン調査)と質的調査(インタビュー調査)から成る。2020年度にオンライン全国調査、2021年度にインタビュー調査を実施した。 2022年度(最終年度)は上記2つの調査結果をまとめ成果を公表した。まずオンライン全国調査のデータ(有効回答507名)を分析しデジタル版としてネット上に公開、報告書を作成し、被害者支援に携わる関係機関(全国の警察、検察、更生保護機関、性被害ワンストップセンター、民間支援団体、自治体等)に周知した。インタビュー調査のデータ(性犯罪、交通事件、殺人等の被害に遭った計22名の語り)については、ロングインタビュー法により分析し被害種別でまとめネット上に公開した。 調査結果を踏まえ、つぎの点を提言した。①身体的侵襲度の高い犯罪の被害者は精神的影響が強く脆弱性が高まることに留意し、細心の丁寧な対応が求められる、②心理的苦痛を軽減し重症化を防ぐには心療内科や精神科受診への壁を低くする必要がある、③被害後早期に支援機関からのサポートが入る体制を整備すべき、④司法手続上の被害者対応では、物理的な時間や場所の配慮、被害者の心情面に配慮した聴取方法、聴取理由の十分な説明など改善すべき、⑤行政の相談窓口の充実、被害者支援に特化した条例制定を促進すべき、⑥被害後の心理的変容体験には「人生への価値観の変容」が見られることがあり、支援者は「回復」に繋がるポジティヴな心理的変容にも敏感でありたい。 第4次犯罪被害者等基本計画が施行されている現在、実証研究に基づく本成果は意義がある。被害者の声を広く届けるため、インタビュー結果をもとにした本を刊行予定である。
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