研究課題/領域番号 |
19K02223
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
志村 健一 東洋大学, 社会学部, 教授 (20265119)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 知的障害者 / 地域生活 / ブローカレッジ |
研究実績の概要 |
新型コロナウィルス感染症の拡大に伴って渡航しての研究が実施できていないが、インターネットで公表されているデータと情報に基づいて、オレゴン州における知的障がいのある人たちの生活を支えるシステムの歴史、概要について調査した。 オレゴン州では、州の機関として、発達障がいサービスオフィス(ODDS)という公的機関があり、知的・発達障がいのある人たちにへ日常生活支援、地域参加支援、就労支援のサービスを用意している。そしてオレゴン州内の36郡と1地域の37カ所に、地域発達障がいプログラムが設置されており、郡、または民間が運営している。ここは知的・発達障がいのあるすべての人が対象であり、サービスコーディネーターによるケースマネジメントを提供している。そして、当事者に最も身近な機関として、支援サービス・ブローカレッジが、(現在再編中であるが)約14の民間施設でオレゴン州内を網羅している。ブローカレッジは、家族と生活している、または自立生活をしている知的・発達障がいのある人が希望することで、ブローカレッジのパーソナル・エージェントによるケースマネジメントが利用できる。 ブローカレッジはオレゴン州の36のすべての郡で機能しており、14団体が約8,000人の人たちの地域生活を支えている。ブローカレッジは当事者とその家族を含めた理事会により運営され、当事者の声を活動に反映させている。ブローカレッジの基本理念は自己決定に拠っており、どのような計画が良いか、どのようなサービスを利用したいか、どこで誰に支援して欲しいか等の希望が支援の基盤となる。またブローカレッジはオレゴン支援サービス協会を2010年に設立し、連携をはかっている。本調査ではコロナ禍におけるブローカレッジの活動を明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルス感染症の拡大に伴って渡航しての研究が実施できていないため、インターネットの情報と現地の研究者の協力によってのみ研究を遂行させている。
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今後の研究の推進方策 |
これまで日本ではランターマン法に基づくカリフォルニア州の知的障がいのある人たちの地域生活を支援するシステムについて紹介されてきた経緯があった。これらの先行研究に加えて、オレゴン州のブローカレッジの取り組みについて精査することは、施設入所とグループホーム利用という限られた選択肢から、より日本にあった支援システム構築のヒントを得ることが期待できる。これまでの調査でオレゴン州の知的障がいのある人たちの支援の全体像を検討し、事例の一部を検討した。今後はその具体的な事例を複数取り上げて精査し、日本の知的障がいのある人たちの支援の充実につなげたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度、2021年度において、新型コロナウィルス感染症拡大により渡航して実施する計画のフィールドでの調査が実施できていないため次年度に繰り越すことになった。 2022年度の使用計画として、オレゴン州でのフィールド調査が実施可能であれば、渡航しての調査を実施し、旅費として使用することを計画したい。 また、新型コロナウイルス感染症の感染予防のために渡航しての調査を実施しない場合においては、研究協力を得ているポートランド州立大学を通じてデータ収集を委託し研究を進める。その場合は現地の研究者へ人件費、謝金として研究費を使用する計画とする。
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