研究課題/領域番号 |
19K02224
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
沈 潔 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (20305808)
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研究分担者 |
趙 軍 千葉商科大学, 商経学部, 教授 (30301831)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 疫病史観 / 社会事業政策 / 衛生医療 / 東アジア |
研究実績の概要 |
今年度(2020)では、コロナウイルスの影響で国内外の資料調査や学会参加、学会発表等、大きく制限され、本研究の全面的展開に大きな影響をもたらした。その厳しい状況の下で、研究代表者と分担者は、オンラインの手法による資料調査と資料収集を行い、オンライン会議を活用して研究活動を続けていた。予定された関連資料の発掘・収集と資料分析などはほぼ予想通りの進展が実現できた。今年度では、主に以下のような研究活動を行いました。 (1)国際シンポジウムの開催:2021年1月23日、本研究プロジェクトは日中社会保障研究会と合同で、「オンライン国際シンポジウム:“疫病史観”の視角から考えるポストコロナ時代の衛生医療」を開催した。このシンポジウムは、中国の武漢を起点に登場した COVID-19 感染症の流行が、世界を一変させました世界情勢を背景に、感染症・公共衛生領域の権威的研究者である青山学院大学の教授、ピッツバーグ大学&中国上海交通大学の教授を迎え、“疫病史観”及び“疫病統計史”の視角からポストコロナ時代の衛生医療や医療保障の在り方をめぐって、近代から現代まで社会事業政策移転のメカニズムの構築と運行理念などの課題を含み、日本国内外から参会した研究者たちは活発な議論を交わしていた。 (2)資料の発掘、整理、翻訳と資料批判 近代中国社会事業の行政刊行物、社会事業協議会が刊行した機関誌、その他の民間施設の関連する出版物(冊子、新聞記事など)を中心として、実物資料と電子化された資料を集め、分類整理した上に電子化し、翻訳と資料批判を行いながらデータベースに蓄積していく。近代中国関連の新聞雑誌類出版物のネット公開の進展により、この部分の進捗は概ね順調である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定された本年度の研究課題は、1)社会事業人材育成の実際及び日本からの影響;2)社会事業実践の状況及び日本社会事業団体との往来を解明することである。研究課題を解明するための資料調査及び資料分析の予定目標は、オンラインの手法を活用し、概ね達成できた。ただし、現地に所蔵された貴重資料の閲覧や現地の研究者との情報交換などの課題は残されている。 また、コロナ禍の影響で、予定されていた中国など海外への学会参加はできなくなり、海外研究者を日本に招聘してワークショップを行う計画も中止せざるを得なくなった。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度では、コロナ禍による影響をできる限り軽減するよう、以下の推進方策を取りたいと考えている。 ①研究方法の面において、秋前後中国で開催される国際シンポジウムに参加できるよう申し込んでおり、それに合わせて海外調査を企画している。それが万が一実現できない場合、オンライン会議システムを利用する形で参加し、国際的学術交流を予定通りに実施する予定である。国内での資料調査なども状況によって実施する予定である。 ②研究内容の面において、引き続き中国語史料をさらなる努力で発掘・収集し、入手した資料に対して日本語資料と照らして資料批判を行い、「社会事業人材育成の実際及び日本からの影響」と「社会事業実践の状況及び日本社会事業団体との往来」を考察作業の中心として解明に向ける研究を展開し、戦争及び植民地支配時期においても社会事業の知見は一定の中立性と共益性を持っている仮説の検証を試みる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由に関しては、コロナ禍の影響で、海外調査と資料の収集が不可能になり、予定されていた国内外の旅費は未使用のままとなった。また、海外研究者を日本に招聘してワークショップを行う計画も中止せざるを得なくなり、海外招聘の旅費費用も実施できなかった。 次年度に海外で開催される国際シンポジウムに参加できるよう申し込んでおり、それに合わせて海外調査を企画している。 また、資料データベースの充実及び研究成果の発信に研究費用を有効的に活用する予定である。
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