研究課題/領域番号 |
19K02227
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研究機関 | 同朋大学 |
研究代表者 |
下山 久之 同朋大学, 社会福祉学部, 教授(移行) (30442221)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 認知症高齢者 / 機能性尿失禁 / 排泄自立支援プログラム / 排泄ケア・マネジメント / 介護保険施設 |
研究実績の概要 |
認知症高齢者のうち、泌尿器の疾患がないにもかかわらず失禁の状態となることを機能性尿失禁という。施設で実際に機能性尿失禁の人を分析すると、認知症が原因となっている割合が最も高い。また拘縮等があり、身体的理由で移動ができずトイレへ自ら移動しないという利用者も見られた。明らかな認知症ではなくても、水分摂取量が少なく隠れ脱水から意識レベルが低下し、日中に傾眠傾向が高まる時に、自ら尿意・便意を訴えずにオムツを使用した排泄ケアを受けているケースも見られた。 認知症高齢者で自ら尿意・便意を訴えないケースにおいては、残尿測定器を用いることにより、その人の排尿日誌を作成すると一つの目安になることが示唆された。その排尿日誌を基に、その人に相応しい誘導時間を見つけていくことにより、パッド等を使用していてもパッドを濡らすことなく、トイレ誘導の時間を見極めていくことが可能であった。また水分摂取量が高まることにより、意識レベルが高まり覚醒状態になると尿意・便意をより明確に自覚しやすくなっていた。水分摂取量の計測と排尿日誌の作成を関連付けることにより、その人のトイレへの誘導時間を見出していくことが可能であることが示唆された。拘縮がある利用者に対し、体圧分散測定器を使用し、適切な座位姿勢・臥位姿勢を保持して頂くことにより、少しずつ筋性拘縮、神経性拘縮の改善が見られ、尖足の状態から足底が床に着くところまで改善が見られると便座に座ることが可能となった。その状態まで至るとトイレ誘導が可能となった。拘縮等の改善も排泄の自立を促す大切な要因であることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍ということもあり、実際に施設に赴き利用者からのデータを集めることに苦慮している。協力してくれ、施設の職員が代わりにデータを取ってくれる施設もあるが、施設職員が残尿測定器を的確に使用することに課題が残る。
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今後の研究の推進方策 |
6月開所の介護保険施設において、新規入所者に対する排泄アセスメントを行うことが決まっている。6月中に40名の新規入所者に対する排泄アセスメントを行い、そのデータを基に類型化を行い、それぞれに相応しい排泄自立支援プログラムを提供していき、その成果の検証を行う予定である。10月までにデータ収集ならびに効果の検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会等に参加し、演題発表を行う予定であったがコロナ禍で学会延期となったため、旅費を使用しなかった。また人件費を使う予定であったが、やはりコロナ禍で予定変更となり、その文を物品購入費とし体圧分散測定器等の購入に充てることにした。
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