研究課題/領域番号 |
19K02230
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研究機関 | 四天王寺大学 |
研究代表者 |
笠原 幸子 四天王寺大学, 人文社会学部, 教授 (50342192)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 意思決定支援 / 成年後見制度 / 専門職後見人等 / 支援過程 |
研究実績の概要 |
2022年度は,1.「意思決定支援研究会」の開催:2022年6月~2023年3月までに合計6回開催した.2.質的データの分析を進めた結果,2022年度日本社会福祉学会にて口頭発表をした.3. 調査票を印刷し,弁護士,司法書士,社会福祉士及び市民後見人を対象に,量的調査を実施し,回収されたデータ数は394であった.4. 量的調査の結果を入力し分析した.5. 論文執筆をし,2023年4月末に日本社会福祉学会「社会福祉学」へ投稿,2023年6月に開催予定の日本認知症ケア学会大会において,「認知症の人に対する意思決定支援のアプローチの視点とテクニック」というタイトルで特別講演の予定である.6.質的調査と量的調査のデータの収集が完了したため,これらのデータの分析に注力した.データ分析の結果を4点に整理した. 1点目は,「認知症の人のガイドライン」が示しているように,本研究では意思決定支援を過程として捉え,その過程は,本人の意思の形成支援,表明支援,実現支援で構成された.実現支援まで含むことによって,本人の意思が明確になった.2点目は,意思決定支援の過程は本人の意思の形成支援から,表明支援,実現支援への一方向の流れだけではなく,逆流したり,実現支援から形成支援に戻って循環することもあった.3点目は,意思決定支援は,本来であれば成年者の自由な決定に任されるべき私的な領域に他者が介入するという点で,本質的に権利侵害の危険性を内在していることを後見人等は認識し,意思決定支援の全過程を通して,後見人等は柔軟性や想像性を前提とした“否定しない態度”や“待つ姿勢”を重視していた.同時に,チームで支援することも重視していた.4点目は,家庭裁判所の審判により就任した後見人等は自律性が高く,本人との関係は長期に及ぶため,支援者の立場では難しいと思われることでも本人の意思を代弁し,支援者らと協働していた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
質的データの分析に時間をかけすぎたと考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
1.「意思決定支援ツール」の作成,2.これまでの研究成果報告会の開催,3.研究成果報告書の作成,4.日本社会福祉学会等での研究発表及び論文投稿
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響によって,オンラインの活用が多くなり交通費等が大幅に削減された.また,次年度は「意思決定支援ツール」及び研究成果報告書の作成費用、国際学会での発表を予定している.
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