研究課題/領域番号 |
19K02235
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
井筒 節 東京大学, 教養学部, 特任准教授 (00392449)
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研究分担者 |
堤 敦朗 金沢大学, 国際機構, 准教授 (20536726)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 障害者の権利 / 人権 / ウェルビーイング / 精神保健 / 国連 / 開発 |
研究実績の概要 |
本研究では、障害者の権利保護・促進をめぐる尺度作成に資する先行研究を収集・分析し、同時に、コロナ禍で直接海外に調査・情報収集に出かけられない中、代替として、国連システム、開発途上国のステークホルダー、国内外の当事者団体等とオンラインイベントを開催するなどして、最新の知見の収集を行った。 中でも、国連障害プログラム、国連訓練調査研究所(UNITAR)やUN Womenとは、5月、6月、8月にオンラインイベントを実施し、コロナ禍における障害者の権利を取り巻く現状、政策、ガイドライン、研究、好事例等を共有し、現在、出版物にまとめている。この際、障害以外の多様性イシューとして、性的オリエンテーション/ジェンダー・アイデンティティ、カースト、農村部の貧困等とのインターセクショナリティにも着目をし、新たな地平を目指した。 更に、国連障害者権利条約締約国会議では、3つのパネル・ディスカッションを開催し、本研究のこれまでの成果を共有すると共に、国連や世界の専門家・当事者と意見交換を行った。 これらの際、国際の政策決定を担うハイレベル(国連事務次長、障害者権利委員会委員長、大臣等が参加)、実務レベル、現場、若者等の様々な層のステークホルダーに参加してもらい、また、欧米・アジア・ラテンアメリカ・アフリカ等の地域の違いにも配慮し、インプットの多様性を確保すべく努めた。 また、パンデミックを受けて、海外への渡航はできなかったが、フィリピンやバングラデシュの現場とは、定期的にオンライン会議を開き、コロナ禍の対応をめぐる技術協力をしつつ、情報共有や研究を進展することができた。 これらの成果は、論文や海外で発売された書籍でも出版した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、当初予定していた海外への渡航及び一部の国内出張ができなくなったが、オンラインツールを使用することで、国連機関との協働や、開発途上国の専門家・実務家・当事者とのやり取りが、より身近且つ頻繁にでき、結果的には新しい形で研究実施をすることができた。 また、パンデミックの状況下で、周辺化されやすい人々をめぐる新たな視座や取り組みが生まれており、これらについても、研究に反映することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、本研究の最終年度となるため、これまでの知見を集約し、更に論文・出版物化したり、開発途上国を中心とする現場と国連システムにもフィードバックしていく。 2021年度もコロナ禍で海外渡航は難しい可能性があるが、オンラインツールを使用しながら、それらの利点を生かして、研究の実施を続ける。 その上では、開発途上国の研究パートナーや、国内外の当事者団体との連携に基づき、現場とのインタラクションを重視し、同時に、パンデミックによる政策・ガイドライン上の変化・新たな論点等にも注視しながら行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で海外渡航ができなかったため。 次年度は、パンデミックの状況に合わせて、渡航ができる場合は渡航を、できない場合はオンラインツール等を使用するなど形態を変えて、適切に使用する。
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