今後の研究の推進方策 |
3番目の「文献研究」においては、今後ますます放課後等デイの利用者が増大・多様化することや、重症心身障害児の利用割合が増えつつあり、健康管理のみならず発達支援の視点をいかに持つかが課題になることが予測できた。2020年7月調べで、創設期の事業所数2,540は15,224へ、利用者数は創設期の47,642名から245,767名、それぞれ6倍、5.2倍となっている。多様化に対応する視点や実際のプログラムが必要であろう。 本研究に参加している利用者の多くは、各事業所で、接し方に専門的助言が必要と判断され、保護者もそれを望んでいる強い行動障害を伴う事例である。これらの事例について、VinelandⅡ適応行動尺度や本研究で使用する認知発達の評価「太田ステージ評価」その他、視覚運動機能に関するデータや、個別学習の場面の実録ビデオが蓄積されている。今年度は、それらの資料を整理・分析し、忙しい放課後等デイの現場でできる発達支援の実践事例としてまとめていきたい。 本研究で使っている「認知発達治療」の臨床研究では、重症心身障害児の評価において、言葉を理解しない段階を物への反応で5段階に分けることができる。この段階も含め、言葉の理解への移行期や、単語の理解はあるが言葉を使って考えるまでにはいかない段階、すなわち、Piagetによる感覚運動期から表象的思考期の前概念的思考期までの思考と行動は、一般の大人には理解しにくいものである。「発達支援」「専門性向上」の概念は広いが、直接支援に従事しながら、日々この子どもたちとのコミュニケーションの手立てを探している現場の職員に、行動から認知発達の状態を見取り、自らの力で適切な支援方針が立てられるような視点を提供することを、本研究の「専門性の向上」の柱と考えている。
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