10月29日から11月2日にかけてテキサス州オースティンにてテキサス州政府成人保護サービス及び児童保護サービス機関でレクチャー及び実地調査を行った。また11月5日にはインディアナポリスにおいて、米国老年科学会(GSA)にて「Need for support for persons with disabilities in elder abuse」というテーマで発表した。日本の高齢者虐待防止法の定義では虐待無しと認定されたケースについて松戸市の高齢者虐待通報台帳を分析し、虐待者が障害者であるケースが多いことを指摘し、障害者施策の充実が本質的な高齢者虐待防止につながることを言及した。 高齢者虐待防止法の高齢者虐待の定義はWHO高齢者虐待の定義と比較しても虐待の範囲が狭く、実態として権利侵害を受けている高齢者がいても高齢者虐待と行政が認定しないケースが出てくることがわかった。そのことによって実際に高齢者虐待に対応している地域包括支援センターなどでは支援の法的根拠が乏しく逡巡していることが明確になった。こちらは「高齢者虐待防止法で保護されない虐待事例の存在検証=世界保健機関の定義する高齢者虐待との比較検討=」というタイトルで高齢者虐待防止研究Vol.18 No.1 に掲載されている。 また「同居者虐待」を養護者虐待に加えて概念づける実践的・法的意義についても言及し、高齢者虐待防止法に規定する「養護者による高齢者虐待」に「同居者による高齢者虐待」を加えることにより、現行よりも、はるかに多くの実態的な高齢者虐待事例を保護することが可能となると考えられると第17回日本高齢者虐待防止学会WEB大会にて論じた。 これら研究の成果は日本高齢者虐待防止学会からの厚生労働省へ高齢者虐待防止法改正に向けた意見として反映されている。
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