研究課題/領域番号 |
19K02245
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
吉田 健三 青山学院大学, 経済学部, 教授 (80368844)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | アメリカ / 年金システム / 確定拠出型年金 / 401(k)プラン / 資産形成支援 / 退職危機 / エリサ法 |
研究実績の概要 |
本研究の核心的な問いは「確定拠出型年金を有効に機能させる政策や支援はどのようなものか?」であった。この問いに取り組むため、2021年度以降、確定拠出型年金が普及しているアメリカにおける退職後所得保障の現状の評価に従事してきた。一昨年度の社会政策学会での成果を踏まえて、昨年度は12月に『社会保障研究』に査読付き論文を掲載することができた。これは現地での退職後所得保障に関する多数の諸研究を精査し、「退職危機」の実態と要因について統計資料と実証研究の精査の両面から再検討を試みるものである。そこでは伝統的な危機の再発見と結果の個人化という新しい危機の顕在化という二つの側面が明らかにされた。「確定拠出型年金を有効に機能させる政策」を考える上で、まずそれがどのように機能しているか、単純な危機論を超えてその程度や性質を正確に把握することは不可欠の課題である。 2019年SEQURE法を中心とするアメリカの企業年金政策の動向について、1974年に成立したエリサ法による規制体系が401(k)プランの普及とともにどのような変化を遂げたのかを2023年当初の課題としたが、2022年に学内紀要にて歴史的なフレームの構築を試みたものの、今年度に具体的な成果はない。一方で、確定拠出型年金の歴史的性格をより正確に見極めるため、伝統的な年金からの移行過程を研究する必要があると考え、2023年度はこの課題に従事した。2024年にはその成果の一部を発表する予定である。この歴史的性格と現地での政策課題や実際の政策展開との関係を結びつけることが、現時点での本研究の大きな課題であり、より広い国際比較研究の基盤となることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍の中、本格的な国際比較研究は断念したが、その基盤となるアメリカ研究については比較的順調に進んでいると考える。
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今後の研究の推進方策 |
延長を含め本研究の最終年度となる。コロナ禍が緩和され、海外調査が可能となったが、2024年度はすでに入手した資料と合わせ国内で入手可能なの精査につとめ、特に当初から中心的な分析対象としてきたアメリカ研究について具体的な成果を発表したいと考えている。そのためのオンラインでの資料収集、またコンタクト、文献検討や資料の整理、精査も継続していく。国際比較の足がかりとなるようなフレームや分析視点を構築したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画の重点をアメリカに変更したため、一昨年度までに渡航、収集した資料の精査と成果の取りまとめが中心となった。そのため、ヨーロッパなど海外の渡航は実施されなかった。直接的な渡航に変わり、アメリカの年金業界の専門雑誌Pensions and Investmentその他サブスクリプションを購入し、またスウェーデンの福祉国家研究者の報告を伺ったが、その差額が次年度使用額となった。次年度使用額は最終年度の研究活動費として引き続き、資料の収集、また研究に必要な機材、ソフトの更新・メンテナンスや消耗品の補充などに充てていく予定である。
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