研究課題/領域番号 |
19K02246
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
伴 英美子 慶應義塾大学, 環境情報学部(藤沢), 講師(非常勤) (60766575)
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研究分担者 |
渡邉 大輔 成蹊大学, 文学部, 准教授 (20629761)
秋山 美紀 慶應義塾大学, 環境情報学部(藤沢), 教授 (50439254)
中島 民恵子 日本福祉大学, 福祉経営学部, 准教授 (70503085)
古城 隆雄 東海大学, 健康学部, 准教授 (70518787)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 介護事業所 / 被災体験 / 防災対策 / タイムライン / ケースメソッド教材 |
研究実績の概要 |
1.被災事例とタイムラインの比較研究:西日本豪雨(2018年7月)で被災した岡山県の3介護事業所に対するヒアリング調査(2019年度)の録音データより逐語録を作成した。逐語録と公開資料(報告書等)から、意思決定に関わる全ての事象を抽出し、時系列の表を作成した。質的データ分析法(佐藤,2008)を行い、岡山県保健福祉課(2019)の要配慮者利用施設避難行動タイムラインと比較検討した。その結果、西日本豪雨の際にタイムラインが用いられていれば、より安全に避難できた可能性があることが分かった。実際の意思決定には現タイムラインの項目に加え、地域住民(避難者)対応や、職員の家族に配慮した情報共有や帰宅指示、嘱託医や行政への情報共有等があった。注意報・警報解除後にも外部支援や、利用者のケア等、利用者の生死を左右する意思決定があった。
2.ケース教材作成:2019年度の調査では、複数の被災介護事業所より、ボランティアや支援の受け入れについて苦慮したことが報告された。 そこで、熊本地震の調査結果を元に、ボランティアを行う側(派遣組織や、ボランティア)、及び受け入れ側(BCPを担う介護事業所の管理者向け)の教育を目標としたケース教材の開発を行っている。本ケースは、ボランティアを行う側と受け入れ側双方の視点から書かれた、複数のパートから構成されるもので、ボランティアを行う側のケースについては、素案作成後、試運転(関係者による教材の仮運用)を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度は新型コロナウィルス感染拡大防止対策として新規の調査を自粛せざるを得なかった。2019年度の調査のまとめと成果の公表、ケース教材の作成を主な活動として行った。 2020年9月3日超福祉展の「超福祉な未来災害対応~最新調査研究レポートから考える~」セッションに、研究代表者が登壇し、「介護事業所における災害対応と教育プログラムの開発」というテーマで報告をおこなった。2020年9月7日には、研究者、KAIGO LEADERSのメンバー、看護師等専門職に参加頂き、「介護×防災 被災時の介護事業所の意思決定」と題して調査報告と勉強会を開催した。2020年10月31日第28日日本介護福祉学会大会で、伴と秋山が「豪雨災害において地域密着型の介護サービス事業所が迫られる意思決定とは」というテーマで誌上発表を行った。2021年1月22日 港区保険福祉支援部介護保険課介護事業者支援係主催、「港区第2回管理者研修 管理者向け研修『あっどうしよう!防災×介護』」にて調査結果を報告した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画では、複数事例の調査により、被災介護事業者に共通する、課題やメカニズムを抽出することを目的としていたが、新型コロナの影響が長引き、多数の取材を行うことが難しいことから、少数の事例についてより帰納的な分析を行うことに切り替える。逐語録の再分析を行い、少数事例研究として論文化する。 同時に、遠隔会議システムを用いた調査にご協力いただける事業所を探し、調査対象事例を増やしていきたい。 また開発した教育教材の運用を進め、その効果測定を行いたいと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスへの対応により、被災事業所の訪問調査が出来なかったため。 現在でも緊急事態宣言下であり、支出の目処が立たないため、1年間研究期間を延長したいと考えている。
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