研究課題/領域番号 |
19K02247
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研究機関 | 昭和女子大学 |
研究代表者 |
根本 治代 昭和女子大学, 人間社会学部, 准教授 (70386340)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 組織社会化 / 知的障害者 / 中長期のキャリア形成 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、障害者の能力の維持・開発を中心としたキャリア形成の進展が、企業における障害者雇用の促進にどのような影響を与えているのかを、キャリア形成が難しいとされる知的障害者の組織社会化(Organizational socialization)のプロセスから実証的に検証することである。これまで説明概念として使用されてきた組織社会化概念を用い、組織内外のミクロ、メゾ、マクロに及ぶ相互変容過程から、障害者雇用が企業活動に及ぼす運営上の効果を多角的に分析し、企業における障害者雇用促進の方策として検討していく。 1年目は社会学、組織論から組織社会化の文献研究を中心に、組織社会化の概念、プロセス理論、組織や個人への成果に関するレビューを行った。組織社会化の概念・定義は、経営学の組織行動論や人的資源管理の分野を中心に1960年代半ばから現在にかけて研究が蓄積されている。これらの文献レビューは、日本社会福祉学会第67回秋季大会にて、「障害者雇用における組織社会化をめぐる検討」をテーマに、成果として報告することができた。 組織社会化の先行研究から、知的障害者雇用における中長期のキャリア形成にかかわる質問項目を作成し、企業の職場管理者30名への個別インタビューを行うため、これまでの科学研究費助成を受けて実施した調査の協力団体に、インタビュー対象者30名の選出、研究趣意書の確認、プレ調査への協力、質問項目への意見等、依頼した。調査実施にあたって所属校における研究倫理審査委員会の承認を受けた(2020年2月)。 2020年3月中旬からインタビューを実施する予定であったが、コロナ感染予防による自粛のため企業への調査が困難となる。そのため職場管理者へのインタビューは、次年度に繰り越して実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1年目の予定としては、以下のとおりである。 第Ⅰ期:4月-6月:文献研究及び調査協力者の選出と調査依頼。調査協力団体は、これまでの科学研究費助成を受けて実施した調査の協力団体であり研究の趣旨を理解している。調査協力者にはインタビュー対象者30名の選出、研究趣意書の確認、プレ調査への協力、質問項目への意見等、協力を依頼した。 第Ⅱ期:7月-10月:職場管理者へのインタビュー調査の実施。選出された職場管理者30名のインタビューを実施する。調査方法としては、企業及び就労支援機関の会議室を使用し、1人約60分~90分の半構造化面接によって聞き取る。 第Ⅲ期:10月‐3月:インタビュー・データのコーディング、カテゴリー化を行い分析する。 以上の予定であったが、研究代表者所属機関の業務が予定以上に増えたため、第Ⅱ期に予定していた職場管理者へのインタビュー調査の実施が大幅に遅れた。また3月末にはコロナ感染予防による自粛のため企業への調査が困難となった。そのためインタビュー調査は、次年度に繰り越して実施することとなった。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度の予定は以下のとおりである。コロナ感染予防による自粛に伴い、2020年8月~2021年3月の間で、企業の職場管理者30名へのインタビューを実施する。調査方法としては、企業及び就労支援機関の会議室を使用し1人約60分~90分の半構造化面接によって聞き取る。 インタビュー・データは、定性データ分析ソフト「NVivo12 for Windows教育機関用ソフトウェア」を使用し、コーディング、カテゴリー化を行い分析する。1年目の文献レビューについては、2019年度に学術学会で報告しているため、学術学会誌に論文投稿していく。インタビューデータにおいても、分析結果をまとめ、学術学会で報告する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度実施予定であった企業の職場管理者へのインタビュー調査を、コロナ感染予防に伴う自粛規制により、2020年8月~2021年3月に実施するため、予算も2020年度に繰り越して使用する。
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