近年、日本では成年後見制度への過度な依存がみられる。本研究のアンケート調査から、制度には高い肯定的評価があったが、本人の主体性が発揮されているとは言い難い結果が得られた。さらに、社会全体の寛容性やゆとりの欠如、支援を必要とする人々への理解の低下が指摘された。 また、障害者権利条約における人権モデルに着目すべきことが示唆された。権限を持つ人が決定を下す便利な制度より、多様性の中で他者と生きることを保障すべく、人間の尊厳に立脚する生存権を再構築することが求められている。 社会の中で孤立するが故に制度に頼らざるを得なくなるため、地域でのネットワークを構築し、本人と関係性を創るプロセスが重要である。
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