研究課題/領域番号 |
19K02255
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研究機関 | 中部学院大学 |
研究代表者 |
加藤 大輔 中部学院大学, 人間福祉学部, 准教授 (00647604)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 当事者参画 / 精神障害者施設 / 評価システム / クラブハウスモデル / 認証 |
研究実績の概要 |
本研究は3年計画を予定しており、3年目の2021年度は「統合研究」と位置づけ、これまでに行ったアンケート調査やヒアリング調査から得られたデータをまとめ、当事者参画型の評価システムのあり方を示す予定であった。しかし、新型コロナ感染症(以下、COVID-19)の感染拡大や感染予防措置の影響により、2年目そして3年目は、施設へ訪問してのヒアリング調査や関係者との意見交換等を図ることが計画通りに行うことができなかった。このような状況を踏まえ、3年目に取り組んだ内容は以下の3つである。
1.岐阜県内の精神障害者施設に対して行ったアンケート調査(2021年1月~2月)の分析に取り組んだ。分析の結果、日々行っているプログラム内容に関する話し合いや振り返りには当事者の関与はあるが、年間計画や運営面に関することは関与が少ないという実態が明らかになった。また、自由記述から、当事者と共に施設評価をすることによって、施設に何かしらの変化が生じるのではないかという「期待感」と同時に、職員の中には当事者の声に向き合うことへの「戸惑い」や「抵抗感」もあることが明らかになった。 2.日本クラブハウス連合と連携し、日本クラブハウス連合に加盟している3ヶ所のクラブハウスの実態調査を2022年9月下旬に実施した。調査内容は「運営面」「メンバー状況」「スタッフ体制」「活動内容」「就労・雇用状況」「認証の取り組み状況」「COVID-19による影響」である。実態調査の回答は、スタッフ(職員)だけで取り組むのではなく、メンバー(当事者)とスタッフ(職員)が共に行ったことが自由記述の内容から把握することができた。 3.2021年10月4日~8日にかけて、「クラブハウス ワールドセミナー」がバーチャル(リモート)形式で開催され、海外のクラブハウスの実践把握や評価に関する情報を収集するために参加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID-19の感染拡大や様々な措置(緊急事態宣言やまん延防止等重点措置等による移動の制限・自粛)により、2年目と同様に3年目も、精神障害者施設へ訪問してのヒアリング調査、先駆的な取り組みを行っている施設への視察等を行うことができなかった。 本研究は、当事者参画を軸にしたものであるため、当事者の声や意見を聴取することが研究を展開するうえで最も重要であり、不可欠である。現時点で、精神障害者施設を利用する当事者からヒアリング調査が実施できていないことを踏まえると、「遅れている」と評価せざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度が研究期間の最終年度があるが、補助事業期間の延長(1年)が承認されたため、延長期間の2022年度は、以下の3つのことを遂行する。
1.上半期、日本クラブハウス連合に加盟している3ヶ所のクラブハウスのメンバー(当事者)とスタッフ(職員)を対象に、クラブハウス独自の評価システムである「認証」に関してのインタビュー調査を行う(対面形式を予定しているが、COVID-19の感染状況によってはリモート形式に変更)。 2.当事者性を意識した活動や運営をしている精神障害者施設を訪問し、当事者や職員と意見交換を図りながら、多角的かつ多様な声や意見を聴取する(COVID-19の感染状況によっては実行できない可能性あり)。 3.下半期、ヒアリング調査等で得られたデータを整理し、研究代表者が所属している学会で研究成果を発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度に続き、2021年度もCOVID-19の感染拡大や精神障害者施設における感染予防措置によって、施設への出入りに制限が設けられたこと等もあり、予定していたヒアリング調査や視察を行うことができなかった。そのため「旅費」「人件費・ 謝金」が計画通りに使用することができなかった。 2021年度が研究期間の最終年度があるが、補助事業期間の延長(1年)が承認された。そのため、2022年度は、3ヶ所のクラブハウスのメンバー(当事者)とスタッフ(職員)を対象にしたインタビュー調査、当事者性を意識した活動をしている施設への訪問、研究成果を報告するための学会参加などで研究費を使用する予定である。
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