研究課題/領域番号 |
19K02260
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研究機関 | 熊本学園大学 |
研究代表者 |
松本 勝明 熊本学園大学, 社会福祉学部, 教授 (80272300)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 外国人 / 社会保障 / ドイツ / 共生社会 |
研究実績の概要 |
本研究は、外国人材の受入れ拡大に対応し、外国人が円滑に共生できる社会を実現するため、ドイツでの経験や議論などに基づき、これまで国民を対象とする国内制度として発展してきた社会保障制度を共生社会に適合したものに転換するための理論的な基盤と具体的な対応策を提示しようとするものである。 このため、令和2年度においては、まず、令和元年度に実施した文献研究及びドイツでの訪問調査により得られた情報の分析・検討を行った。また、その結果などを踏まえ、特に他のEU加盟国国民である外国人の社会保障に関する基本的な考え方や具体的な取扱いについて掘り下げた検討を行った。 こうした検討の成果などに基づき、令和2年10月に開催された日本財政学会において、「労働者の国際移動に対応した社会保障制度の調整」をテーマに、外国に移動し、就労する労働者が社会保障に関して不利にならないようにするために行われている社会保障制度の調整を取り上げて、その基本的な考え方、調整の重要なポイント、日本の課題などについて報告を行い、研究者との議論を行った。 また、令和2年11月に北海道大学大学院法学研究科で行われた社会保障法研究会において、EU加盟国国民である外国人の他の加盟国の社会保障制度における取扱いについて、特にEU市民権に基づく「自由移動の権利」と「国籍に基づく差別の禁止」との関係に着目した報告を行い、研究者との議論を行った。さらに、この成果に基づき、「EU市民権と社会給付の受給」と題する論文を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和2年度においては、令和元年度に実施したドイツに関する調査結果の分析・検討を踏まえて不足する情報を収集するための現地調査や国内の研究者との意見交換を行う計画となっていたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、これらを実施することができなかったためである。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度には、令和2年度に実施できなかったドイツでの現地調査や国内の研究者との意見交換を実施するとともに、その成果も含めたこれまでの検討結果を基に考察を行う。これにより、社会保障制度を外国人が共生する社会に適合したものとするための理論的な基盤と具体的な対応策を取りまとめる。その際には、とりまとめの内容について研究協力者との議論を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)次年度使用額が生じた理由は、令和2年度に予定していたドイツでの現地調査及び国内の研究者との意見交換が新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期になったことにより、そのために予定していた費用が未使用になったことなどによるものである。 (使用計画)令和3年度には、延期になったドイツでの現地調査及び国内の研究者との意見交換を実施する予定であり、次年度使用額と令和3年度の研究費を使用して、研究計画に沿った研究を着実に推進する計画である。
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